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ありがちな故障と思ったら…… ステッピングモータードライバーの修理【前編】Wired, Weird(2/2 ページ)

20年以上前に製造されたステッピングモータードライバー2台の修理依頼があった。不具合内容は1台が「電源(5V)の表示灯が点灯するがモーターが回らない」、もう1台が「表示灯が点灯しない」ということだった。現品を手に入れて内部の基板を確認すると、1台目はDC5VのDC-DCコンバーターのコンデンサーが劣化していた。2台目には修理された痕跡が多くあった。その後、いろいろ調べていくと、かなり危ない回路のステッピングモータードライバーだと分かった。今回はモータードライバーの修理の経過を報告する。

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対策としてコンデンサーを追加

 図4でコイルの出力とコンデンサーの距離が30mm程度長いパターン(橙)で接続されていた。これではコンデンサーのESRが高くなって、リップルが多くなる。これが5V電源の電圧が下がった原因だろう。対策として、コイルのすぐそばに電解コンデンサー47μF(赤丸)を追加した。その他に5V電源のパスコンの容量が少なかったので100μFの電解コンデンサー(黄丸)を追加した。


図4:降圧コンバーターのチョークコイル、コンデンサー部分 (クリックで拡大)

 この結果5V電源の電圧が4.98Vになりリップルが無くなって安定した5V電圧になった。1台目はほぼ修理完了と思われたので、客先へモータードライバーを送って動作確認を依頼した。その結果、正常に動作したと連絡があった。

 2台目も「1台目と似た不良だろう」と軽く考え、安価な見積もりを客先へ送った。だが、これが大きな間違いだった。

様子が異なる2台目

 2台目の基板は、依頼主の言う通り、AC100Vを通電しても電源の表示灯は点灯しなかった。そこで、ハンダ面を確認すると、制御電源にDC140Vの電源を供給する抵抗R21が焼損して断線していた。

 またハンダ面に実装された5VのDC-DCコンバーター制御ICのMAX730は、ハンダが少し溶けて浮き上がっていた。ハンダが溶けたということはこのICがかなりの高熱になったと想定できる。

 とりあえず切れたR21の代わりの1/4Wの抵抗をハンダ付けし、通電してみると、電源表示灯は点灯した。しかし、少し明るすぎるほどに光った、『これはまずい!』

 電源の電圧を測ったら、やはり7Vあった。

 DC-DCコンバーターICが破損して電圧変換を行っていないようだ。このままでは基板に実装されている5V回路のICが壊れてしまう……。

 その後、いろいろ調査して最終的に原因は突き止めたが、地獄の苦しみを味わうことになってしまった……。その様子は次回に報告する。

次回に続く

⇒連載「Wired, Weird」バックナンバー

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