安易な設計が招いた焼損 ―― モータードライバーの修理【後編】:Wired, Weird(3/3 ページ)
前回に引き続き、ステッピングモータードライバーの修理の続きを報告する。1台目は、容易に修理することができたが、2台目については、大きな苦労が待ち受けていた……。
続々と寄せられる同じ基板の修理……
この後も同じドライバーの多数の修理依頼があった。4台目以降は小型のモジュールを入手できたのでフォトカプラの上に接着して固定した。図5に示す。
図5で電源モジュールを赤四角で囲ったが、モジュールが小型になり修理作業が楽になった。
4台目以降にも5Vの制御回路が劣化して修理できないドライバーも複数あった。このため修理前に5V電源の回路の抵抗を測定し抵抗が低い基板は修理不能として返却し、短絡していない基板は同様の方法で修理を継続している。
配慮が足りない設計で被害が拡大
ドライバーの不具合の原因は5Vの制御回路とモータードライブ回路の間で絶縁処理がされていないことにありそうだ。このため、高圧で大電流のモータードライバーのノイズを受け、制御回路のCMOS ICがラッチアップしたと思われる。ICがラッチアップし5Vの消費電流が増え、DC-DCコンバーターICが過熱して破損した。これで5V電圧が制御されず7Vに上がり、制御回路の電流がさらに増えてAC100V入力のヒューズ抵抗が焼損したと推定された。
基板の動作不良時にチップ抵抗を焼損させるのは、基板が焼損するのを防ぐための処置と思われるが、安全対策としては不十分だ。5Vの消費電流を監視して、電流が大きくなったら5V出力を遮断する保護回路を付ければ焼損する部品はなくなる。このような配慮をして設計すれば破損する部品を減らせる。モータードライバーのノイズの影響を受ければモータードライバーは動作を停止する。だが、いったんAC電源を切って再通電することでモータードライバーが正常に動作できていたかもしれない。
ヒューズ代わりに抵抗を付ける安易な設計を行う前に、不具合の原因を把握して、もっと確実な回路設計を行えば、より良い製品になったと思う。
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