デルタ-シグマADC使用時における電源ノイズ影響の低減:アナログ設計のきほん【ADCとノイズ】(最終回)(4/4 ページ)
具体的な設計例を用いて、引き続き電源ノイズについて考察します。また、電源ノイズを低く保つベストプラクティスと、システムの総ノイズ特性を改善するデバッグのヒントについても説明します。
電源の問題を防ぎ、解決するには
ADCの電源設計を見直す際には、潜在的な問題を除外して最初の段階を無事通過するために、いくつかのパラメーターを確認するところから始めるとよいでしょう。各部品の出力電流制限や入出力電圧範囲といった、主要な電源仕様を見直すことから始めましょう。電源を共有するすべてのアクティブ部品の総消費電流を考慮し、バジェットに余裕を組み込むようにしてください。また、電源の出力の最大容量性負荷を確認してください。その電源のバルクとローカルのすべてのデカップリングコンデンサーは実質的に並列であり、簡単に合計できます。容量が大きすぎると、起動が遅くなる可能性があります。最後に、LDOの入力と出力の間に少なくとも最小ドロップアウト電圧があることを確認してください。図13に示すように、フィルタリングを強化するために、推奨するその他のノイズ低減コンデンサー(CNR)やフィードフォワードコンデンサー(CFF)の追加も検討してください。
使用する電源が正しく設定されているのが確認できたら、フィルタリング強化のためにADCのデカップリングコンデンサーのサイズを大きくして、ノイズ特性全体の改善に取り組みましょう。これは、主電源ピンだけでなく、外付けデカップリング用の専用ピンにつながるどの内部電圧ノードでも有用です。それらに対しても普通はADCメーカーが推奨する容量値があります。最高の性能を得るには、容量の大きいコンデンサーと並列に容量の小さいコンデンサーを配置し、小さい方のコンデンサーがデバイスピンに近くなるように配置することを忘れないでください。
最後に、電源調整部品自体のせいでADCスペクトルにトーンが生じると考えられる場合は、それぞれのADC電源を一度に1つずつ、外部ベンチ電源と置き換えてみてください。これでも問題箇所が明らかにならない場合は、ノイズの発生源を特定するために、基板の主電源を置き換えてみるのもいいでしょう。
これで、連載「アナログ設計のきほん/ADCとノイズ編」を終わります。楽しみながらアナログシグナルチェーン設計のノイズについて理解を深めていただけたなら幸いです。
著者紹介
ブライアン・リゾン(Bryan Lizon)
テキサス・インスツルメンツ 高精度ADC製品プロダクト・マーケティング・エンジニア
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