タッチパネルの修理(1)―― 冷陰極管バックライトを自作LEDバーに交換:Wired, Weird(2/2 ページ)
大手メーカーのタッチパネルの修理依頼があった。故障状況は『バックライトが薄くなり、タッチパネルの操作位置にずれがある』ということだった。今回から2回にわたり、このバックライトの修理について報告する。
ガラスの冷陰極管は気を使うので……
海外のサイトで同じ長さの陰極管を探すと、送料込みで10本、約2000円で購入できることが分かった。陰極管で修理は可能だがガラス管なのでかなり気を使う修理作業になる。もっと簡単に修理する方法を検索すると、LEDバーを使って修理する記事が見つかった。タッチパネル本体の電源はDC24VなのでLEDバーの方が簡単に修理できそうだ。長さが130mm、幅が4mmくらいのLEDバーをWebで探したがちょうどよいサイズのLEDバーが販売されていなかった。手元に細長いLEDチップがありユニバーサル基板の切り端もある。これでLEDバーが作れるだろう。LEDと切り端の基板の写真を図4に示す。
切り端の基板はユニバーサル基板の蛇の目部分を使って残った端材だ。この基板を4mmの幅に切って、長さを延長して130mm程度にすればよい。基板の銅箔のピッチがLEDのハンダ付けのピッチにちょうど合っていた。8個のLEDを直列に接続し、途中に100Ωの抵抗を入れ、両端に配線をハンダ付けしてバックライトのLEDバーを作った。なおLEDバーに24Vの逆電圧を誤って印加してもLEDの逆耐圧が6V×8個=48Vなので破損しないと思われる。タッチパネルとLEDバーの写真を図5に示す。
図5のLEDバーに白いレジ袋を切ったプラスティックのシートを貼って、光を少し拡散させた。パネルに入れて点灯させてみると、このLEDバー1本で十分な明るさが確保され、タッチパネルの片側(上もしくは下側)に入れることでバックライトの代わりになることが分かった。
自作LEDバーを組み込んだけれど……
タッチパネルにLEDバーを組み込み、配線を電源端子にハンダ付けした。DC24V電源を接続して動作を確認した。バックライトを入れる前はタッチパネルの24V電源の消費電流が0.2A程度だったが、追加したバックライトがなぜか点滅した。数分後にタッチパネルの消費電流が1Aを超え電気部品が燃える臭いがしたので、慌てて24V電源を切った。
タッチパネルの内部にバックライト以外の隠れた不良が潜んでいる。これがもう1つのタッチ位置が変動する原因だろう。次回に壊れていた基板の不具合の修理を報告する。
《次回に続く》
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