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マイコンで実現!実践AIソリューション〜文字認識のAIプロジェクトを動作させるハイレベルマイコン講座【組み込みAI実践編】(3)(3/4 ページ)

すでにマイコンを使い込まれている上級者向けの技術解説の連載「ハイレベルマイコン講座」。今回は新しいプロジェクトの開始から動作させるまでの手順について解説。その中でも、推論アルゴリズムをAIプロジェクトにインポートして解析する工程について詳しく解説する。

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(2)ステップ2:手書き文字の軌跡とサムネイルの表示

 次に、タッチパネル機能付きの液晶画面に、手書きされたアルファベットの軌跡のイメージをインポートし、インポートしたイメージを液晶画面に表示するためのユーザーコードを追加する。しかし、このユーザーコードの規模がかなり大きいため、別ファイルでユーザーコードを作っておき、STM32CuibeIDEのUtilityフォルダに新しいディレクトリとして追加する。フォルダへの追加は手動で行う。

 ファイルを追加した後はSTM32CubeIDEのオプションでRefreshすることによって、プロジェクトに取り込まれる。

 取り込んだファイルのコードをBuildするファイルに含むか否かは、「Resource Configurations」で設定する(図6)


図6:6.Utilityフォルダに追加したファイルの取り込み

(3)ステップ3:手書き文字をAIで認識し、認識結果(認識文字/確率/演算時間)を表示

 最初に人工ニューラルネットワークモデルの学習結果の推論アルゴリズムをプロジェクトにインポートする必要がある。推論アルゴリズムは、汎用マイコンの能力では構築することができないため、PCなどで行うか、クラウドに用意されたサービスを利用して事前に準備しておく。

 STM32CubeIDEに統合されているSTM32CubeMXに戻り、「Additional Software」からインポートする。最初の段階で、X-CUBE-AIプラグインを開いて、プロジェクトにSTM32Cube.AIを実装しているため、画面中央にSTMicroelectronics.X-CUBE-AIが表示される。

 「Add network」をクリックし、準備してある推論アルゴリズムのファイル(xxxxxxxx.h5)を選択する(図7)


図7:推論アルゴリズムのインポート

 設定画面の下半分をスクロールすると、「Analyze」が現れるので、クリックして推論アルゴリズムのファイルを分析する。画面下部に分析結果が表示され、分析結果に警告メッセージが表示されなければ推論アルゴリズムをマイコンにインポートできる(図8)


図8:推論アルゴリズムの分析

 コードを生成すると、推論アルゴリズムがインポートされたAIプロジェクトが生成される。最後にステップ1と同じようにmain.cの中の /* USER CODE BEGIN xxxx */〜/* USER CODE END xxxx */に推論アルゴリズムを動作させるユーザーコードを追加して完成だ。

(4)プロジェクトの実行

 プロジェクトを実行すると、プログラムがスタートしたことを示す「READY」の文字が液晶画面に表示される。次に、アルファベットの文字を手書きすると、その軌跡が液晶画面に表示される。その後、手書きされたアルファベットの文字のサムネイル、認識文字、確率および演算時間が画面左上に表示される(図9)


図9:AIプロジェクトの実行

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