マイコンで実現!実践AIソリューション〜文字認識のAIプロジェクトを動作させる:ハイレベルマイコン講座【組み込みAI実践編】(3)(4/4 ページ)
すでにマイコンを使い込まれている上級者向けの技術解説の連載「ハイレベルマイコン講座」。今回は新しいプロジェクトの開始から動作させるまでの手順について解説。その中でも、推論アルゴリズムをAIプロジェクトにインポートして解析する工程について詳しく解説する。
応用実験
文字認識のAIプロジェクトが完成したところで、すこし意地悪な実験をしてみよう。文字としては認識されないようなパターンを入力したら、AIプロジェクトはどんな結果を出すのだろうか?
(1)比較的文字になっているパターン
いくつかの文字を少しひずませて入力してみた。ほとんどの文字は正常に読み取られたが、「Q」と「7」を読み取ってもらえなかった。「Q」は認識不能、「7」は「1」と読み取られた。「7」は、確率67%で「1」と出たので、入力パターンが意地悪すぎたのかもしれない。
(2)でたらめなパターン
ほとんどが認識不能になると予想して入力したが、図11(f)は「A」と読み取られた。確率も78%と比較的高く、意外な結果になった。
また、「点(・)」は何度やっても「1」または「I」のどちらかに読み取られる。幾何学パターンとしては縦線として認識するようで、それを「1」または「I」に判別するのは難しいであろう。確率も50%前後なので、AIはかなり悩んでいたようだ。
関連情報
実際に「組み込みAI」を体験してみたい方には、STが提供している「B L475E IOT01A」や、「STEVAL-STLKT01V1」をはじめとする「組み込みAI」開発ボードをおすすめする。これらのボードには各種センサーや通信機能が搭載されているため、このボードを身に付けた人が走っているのか、歩いているのか、止まっているのかなどを「組み込みAI」によって判断するデモを簡単に作ることができる。
トレーニング資料(日本語)も準備されており、「組み込みAI」の基礎知識と実際の操作手順も詳しく書かれている。
スマホを使って遊び感覚で「組み込みAI」を体験可能だ(図12)
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