自己放電モニタリングが可能な高精度リチウムイオン残量ゲージIC:マキシム MAX17320
Maxim Integrated Productsは、高精度リチウムイオン残量ゲージおよび保護回路である「MAX17320」を発表した。マルチセルバッテリーで駆動する製品の動作時間を延長し、自己放電をモニタリングできる。
Maxim Integrated Products(マキシム インテグレーテッド プロダクツ)は2020年11月、高精度残量ゲージおよび保護回路である「MAX17320」を発表した。同社Webサイトや正規販売代理店で販売中で、1000個以上購入時の単価は1.55米ドル。評価キット「MAX17320X2EVKIT#」は、89米ドルで購入可能だ。
MAX17320は、2〜4直列のリチウムイオンセル向けのIC。マルチセルバッテリーで駆動する製品の動作時間を延長し、自己放電をモニタリングできる。残り動作時間を決定するには精度の高い充電状態(SOC)情報が必要になるが、MAX17320は競合品と比較して、40%高い精度のSOC値を提供する。
また、同社のアルゴリズム「ModelGauge m5 EZ」を搭載し、バッテリー特性評価を不要にした。動作時間を最長にできるほか、突然のシャットダウンを防止する。
自己放電検出により危険なバッテリーを切断
内部自己放電検出が可能で、自己放電が検出された際はすぐにシステムに警告を送り、潜在的な危険性を有するバッテリーを切断する。クローン作成をSHA-256認証によって防ぎ、個々のバッテリーに固有もしくは動的な鍵を提供する。
他にも、高度なバッテリー保護機能を備えており、さまざまな温度帯域に基づく電圧、電流スレッショルドの微調整ができる。重度のフォルト状態では、二次プロテクターを補助するか、ヒューズを切断するかしてバッテリーを無効にする。
さらに、自己消費電流が競合製品と比べて85%低く、長期の在庫期間にも対応する。超低電力で動作するため、輸送中や在庫時にバッテリーセルから切り離さずに、システムの起動時に即座にSOCを読み取れる。
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