ADAS/自動運転向けの車載用SoC:ルネサス R-Car V3U
ルネサス エレクトロニクスは、ADASや自動運転向けの車載用SoC「R-Car V3U」を発表した。セーフティメカニズムを搭載し、信号処理の大部分において、自動車向け安全規格で最も高い機能安全レベル「ASIL D」の要件を達成する見込みだ。
ルネサス エレクトロニクスは2020年12月、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転向けの車載用SoC「R-Car V3U」を発表した。現在サンプルを出荷中で、2023年4〜6月の量産開始を予定している。
R-Car V3Uは、ランダムハードウェア故障(偶発的故障)を速やかに検出して制御するセーフティメカニズムを搭載。信号処理の大部分において、自動車向け安全規格「ISO 26262」で最も高い機能安全レベル「ASIL D」の要件を達成する見込みだ。
最大60 TOPSのディープラーニング処理性能
ディープラーニング処理性能は最大60 TOPS(Tオペレーション/秒)で、自動運転のためのディープラーニングを提供する。また、低消費電力により熱の発生を抑えられ、空冷で動作するECUの開発に対応する。CPUは、Arm Cortex-A76 CPUコアを4セット、Cortex-R52を1セット搭載し、コンピューティング性能は最大9万6000 DMIPS(Dhrystone 100万命令/秒)となる。
レーダー信号処理用のDSPやマルチスレッドのコンピュータビジョンエンジン、イメージシグナルプロセッサ、物体の動きを検出するDense optical flowなど自動運転専用エンジンも搭載した。同社の車載用マイクロコントローラー「RH850」やパワーマネジメントIC、パワーデバイスなどと組み合わせて使用できる。
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