組み込みAIシステム構築を加速するメモリソリューションの動作確認:ウィンボンド・エレクトロニクス HyperRAM、SpiStack
ウィンボンド・エレクトロニクスは、同社の「HyperRAM」「SpiStack」とルネサス エレクトロニクスのMPU「RZ/A2M」を組み合わせて動作確認した。RZ/A2Mユーザーは、外部RAM、Flashを用いて学習済みモデルなどの容量増加が可能になる。
ウィンボンド・エレクトロニクスは2021年7月、同社の「HyperRAM」「SpiStack(NOR+NAND)」と、ルネサス エレクトロニクスのマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/A2M」を組み合わせて動作することを確認したと発表した。
HyperRAMは組み込みAI(人工知能)や画像処理に適しており、十分な容量とデータ帯域幅により、画像認識など計算集約型のワークロードをサポートする。信号端子が13個のため、PCBのレイアウトを簡素化できる。これにより、MPUを別の目的に使用するために多くの端子を配置したり、少数のピンでMPUを使用してコストパフォーマンスを高めることができる。
SpiStackはNORとNANDのダイを1パッケージにスタックしたもので、6つの信号端子を備える。一方のダイから読み取りをしつつ、もう一方のダイへのプログラム処理が同時にできる。
ルネサスのRZ/A2Mは、MIPIカメラインタフェースに対応し、入力画像を高速処理するDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)により、組み込みAIイメージングアプリケーションの高速処理が可能だ。
コードをNORに、データをNANDに分割して格納可能
今回、HyperRAM、SpiStackとRZ/A2Mの組み合わせの動作確認が取れたことで、RZ/A2Mのユーザーは、外付けのRAM、Flashを活用してアプリケーションコードや学習済みモデルの容量増加が可能になる。ウィンボンドの技術サポートや長期供給も受けられる。
また、SpiStackとRZ/A2Mを組み合わせると、SpiStackのNOR側にRZ/A2Mのブートコードとアプリケーションコードを格納し、NAND側に組み込みAI用の学習データやカメラ画像といった複数の大容量データを格納できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 512MビットのシリアルNORフラッシュメモリ
ウィンボンド・エレクトロニクスは、動作電圧1.8V、容量512MビットのシングルダイSPI NORフラッシュメモリ「W25Q512NW」を発売した。166MHzの高速読み取りに対応し、ハイエンドサーバアプリケーションに適する。 - 安全なOTA更新が可能な新リファレンスデザイン
ウィンボンド・エレクトロニクスは、ヌヴォトン、Qinglianyunと共同で、IoTデバイスのセキュアなOTA更新を可能にする、新しいリファレンスデザインを発表した。クラウドからストレージメモリに至る経路をセキュア化する。 - AIoTや8Kテレビに適した1GビットのLPDDR3
ウィンボンド・エレクトロニクスは、1GビットのLPDDR3を発表した。8.52Gバイト/秒、0.3Wといった高バンド幅要件を満たす、低容量メモリの代替ソリューションとして、8KテレビやAI、IoT用途での需要を見込む。 - IoTデバイスとデータを守るセキュアフラッシュメモリ
ウィンボンド・エレクトロニクスは、セキュアフラッシュメモリ「W77Q」シリーズを発表した。既存のPCBやブートコードの変更は不要で、標準SPI NORフラッシュメモリと置き換え可能だ。 - メモリ機能を強化したIoT向け低電力MCU
ルネサス エレクトロニクスは、同社の32ビットArmマイコン「RA」ファミリーを拡充し、メモリ機能を強化した「RA4M3」グループの量産を開始した。産業機器やHVAC機器、メーターなど幅広いIoT機器の開発を支援する。 - ADAS/自動運転向けの車載用SoC
ルネサス エレクトロニクスは、ADASや自動運転向けの車載用SoC「R-Car V3U」を発表した。セーフティメカニズムを搭載し、信号処理の大部分において、自動車向け安全規格で最も高い機能安全レベル「ASIL D」の要件を達成する見込みだ。