ニュース
電流検出用途向け厚膜シャント抵抗器:ローム LTR100L
ロームは、産業機器や民生機器などの電流検出用途向けの厚膜シャント抵抗器「LTR100L」を開発した。定格電力が同社従来品と比較して約2倍の4Wとなったほか、電流検出の精度も向上している。
ロームは2021年11月、産業機器や民生機器などの電流検出用途向けに、厚膜シャント抵抗器の新製品「LTR100L」を開発したと発表した。既に、ROHM Electronics Philippinesで月産100万個体制で量産しており、価格は1個当たり200円(税別)。
同製品は、放熱性の高い長辺電極パッケージを採用したほか、抵抗体材料を変更して端子温度ディレーティングを用いたことで、定格電力が4Wとなった。定格電力は同社従来品の約2倍に拡大し、高電力対応が必要な産業機器や民生機器のモーター制御回路、過電流保護回路の電流検出用途に適する。
素子構造を最適化し、電流検出の精度が向上
素子構造を最適化したことで、抵抗温度係数(TCR)が使用温度範囲内において300ppm/℃以下(抵抗値10mΩ時)となっており、電流検出の精度が向上した。
また、シャント抵抗器をパワーデバイスやICと組み合わせた熱解析が可能なWebシミュレーション環境を同社Webサイトにて提供する。熱設計を事前にシミュレーション可能とすることで、設計工数の削減に寄与する。
さらに、ICやディスクリート部品と組み合わせることで、回路の高効率化、小型化などに貢献する電流検出ソリューションを提供している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 定格電力と放熱性能が向上したシャント抵抗器
ロームは、定格電力10Wのシャント抵抗器「GMR320」を発表した。7.1×4.2mmと小型ながら、定格電力を上げつつ放熱性を高めたことで、車載機器や産業機器、白物家電の電源やモーターの大電流検出に適する。 - 5025サイズで定格電力4Wのシャント抵抗器
ロームは、定格電力4Wのシャント抵抗器「GMR50」を発表した。5.0×2.5mmと小型ながら定格電力を引き上げたことで、車載および産業機器で使用するモーター、電源回路の電流検出などに適する。 - 抵抗温度係数に優れた長辺厚膜チップ抵抗器
ロームは、抵抗温度係数に優れた、高電力2Wの長辺厚膜チップ抵抗器「LTR50低抵抗」シリーズを発表した。抵抗体素子構造の最適化により、優れた抵抗温度係数を達成。温度変化による抵抗値変動が低減されることから、高精度に電流を検出する。 - 抵抗の基本、選択のポイント
今回は、電気/電子回路の中で最も基本的な要素である抵抗について解説する。回路図上での抵抗のシンボルマークはその種類に関係なくすべて同じだが、実際には目的に応じて、抵抗の種類、精度(誤差)、定格電力、形状などの各要素を総合的に検証し、使用する製品を選択しなければならない。ここで誤った判断をすると、アプリケーション、回路によっては思わぬトラブルに遭遇するケースもある。すなわち、抵抗1本にも“適材適所”が存在するということだ。 - 抵抗器(1) ―― 抵抗器の分類
今回から数回にわたり、あまり市場で話題にされないながらも、電子回路に必要な種類の抵抗器について解説していきます。まずは、抵抗器の分類を説明します。 - 抵抗器(4) ―― 固定抵抗器の信頼性設計
抵抗器の使い方、特にディレーティングと故障率の関係について説明をしていきます。