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電気自動車の充電インフラ規格やトポロジーをまとめる(3/3 ページ)

電気自動車の充電インフラについて、規格や電力トポロジーをまとめる。さらに、SiCデバイスが鍵を握ることにも触れる。

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高速DC充電に適したトポロジー

 高速DC充電器には、メインパワートレインの中に力率補正(PFC)ステージとDC-DC変換ステージの2つのステージが存在します。一方向充電に適したPFCブーストトポロジーとしては、NPC(Neural Point Clamp)、T-NPC、6-switchなど数種類があります。


図4:EV高速DC充電用の典型的な三相力率改善(PFC)ブーストトポロジー。左上がT-NPC、右上が6-switch、下がI-NPC[クリックで拡大]

 電気料金が高い時間帯に、自動車のバッテリーに蓄えられたエネルギーを家庭の電力として利用することが検討されているため、双方向で動作する機能がますます重要になっています。記載したトポロジーは全て、ダイオードの一部をスイッチに置き換えたとしても、この動作モードをサポートします。

 SiC-MOSFETは内部抵抗RDS(ON)が低く(40mΩ以下)、シリコン系のものよりも変換効率が高いため、特に高耐圧領域では推奨されるソリューションです。理想的には、パワー統合モジュール(PIM)により、これらの統合ソリューションは性能の向上と設計の簡素化、システムの小型化と信頼性向上を実現します。T-NPCタイプでも1200Vのダイオード(または双方向動作の場合はスイッチ)が必要ですが、NPCでは650VのSiC MOSFETやIGBTなどのスイッチが使用されています。

 DC-DC変換ステージでは、フルブリッジ共振LLCとゼロ電圧スイッチング(ZVS)型フルブリッジの2つの主要なトポロジーが使用されています。LLCは、一次側でゼロ電圧スイッチング(ZVS)を有効にし、二次側でゼロ電流スイッチング(ZCS)を許可することがよくあるため、共振周波数付近での動作時に非常に高いレベルの効率を実現します。動作周波数が制限されている場合、LLCコンバーターは非常に効率的なソリューションになりますが、電流の共有と同期に関連する問題のために並列動作は困難です。

 位相シフト型フルブリッジトポロジーも一般的であり、LLC方式よりも制御アーキテクチャが複雑でない利点があります。ZVSを使用すると、広範な出力電圧に対して効率が高くなり、400Vと800Vの両方のバッテリ電圧をサポートするのに最適です。

 顕著な違いはありますが、LLCと位相シフトフルブリッジは両方ともコンポーネント数がほぼ同じで、同様の電力密度を実現します。どちらのアプローチも同期二次整流に適しているため、双方向動作に適しています。

 オンセミ(onsemi)は、SiCダイオードやSiC-MOSFET、SiCパワーモジュール、ゲートドライバーなど、高効率の電気自動車充電アプリケーションに適した製品を幅広く提供しています。

 SiCショットキーダイオードは、優れた熱特性などにより、シリコンと比較して優れたスイッチング性能と信頼性の向上をもたらします。オンセミのSiCダイオードは650V、1200V、1700Vバージョンが用意されており、逆回復電流がなく、温度に依存しないスイッチング特性を備えています。

 SiC-MOSFETは、従来のSi-MOSFETよりも絶縁破壊電界強度が10倍、電子飽和速度が2倍、エネルギーバンドギャップが3倍、熱伝導率が3倍と、高速かつ堅ろうです。オンセミでは650V、900V、1200Vの製品ファミリーをそろえています。

 SiCダイオードとSiC-MOSFETのシステム上の利点としては、電力損失の低減による可能な最高効率の達成、電力密度の向上、動作周波数の向上、温度動作の向上、EMIの低減などが挙げられます。

 SiCモジュールはSiCダイオードとSiC-MOSFETを搭載し、DC-DCコンバーターステージで使用されます。完全な統合により、寄生容量が減少し、熱性能が向上するだけでなく、設計が簡素化されてボードスペースも削減されます。



 急速充電器による幅広い充電ネットワークの提供は、今後数年間で電気自動車の販売を拡大するための重要な成功要因の一つと考えられます。急速充電器の規格は、業界団体によっていくつか存在しており、それぞれに違いがありますが、大出力化と効率化が求められている点は共通しています。さらに、SiCデバイスは電気自動車を成功させ、一般的なものにする高速充電を実現するための鍵を握っています。

【著者:Didier Balocco氏/onsemi Business Marketing Engineer, Power Solution Group】

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