高演色のLEDデバイス2種:サンケン電気 SEP1Aシリーズ
サンケン電気は、高演色LEDデバイス「SEP1A」シリーズの提供を開始した。色評価用AAA蛍光ランプと同レベルの高い演色性能を有し、紫外成分も低減するため、展示物の変色などを抑制できる。
サンケン電気は2022年3月、高演色LEDデバイス「SEP1A」シリーズの提供開始を発表した。発光効率145lm/W(ルーメン/ワット)の「SEP1AQ1L92LL」と140lm/Wの「SEP1AQ1L92SS」の2種をそろえる。同年4月のサンプル出荷、同年6月の量産開始を予定している。
同シリーズは、平均演色評価数のRaが95以上、特殊演色評価数のRiが90以上と高い演色性を誇る。色評価用AAA蛍光ランプと同レベルの性能を有しており、日本印刷学会の推奨規格に準拠する。印刷物や繊維の色評価に加え、検査用光源や撮影用光源、美術館、博物館の展示用光源といった用途に適する。
演色性と発光効率のトレードオフを改善
2種のLEDを交互実装した場合の発光効率は142lm/W。従来、演色性と発光効率はトレードオフの関係にあったが、シミュレーションに人の色覚を表す等色関数の原理を用いて励起光や蛍光体構成を最適化することで、トレードオフを改善した。
また、青色LEDチップを励起光に用いることで、蛍光体の光変換効率が改善したほか、透過光も利用可能となった。紫外成分も低減するため、展示物の変色などを抑制できる。
紙の変色の原因となる低波長成分も低く抑えている。演色AAA蛍光ランプとSEP1Aシリーズを用いて、紙に2000lx(ルクス)の光を連続1000時間照射して比較したところ、演色AAA蛍光ランプでは紙の変色が見られたが、SEP1Aシリーズは紙が変色しなかった。
現状では2つのLEDを交互実装する形となっているが、同社では1つのLEDで高い演色を有する製品の開発も進めている。今後は色温度範囲を2700〜1万2000K(ケルビン)まで拡大し、自然光を再現した照明機器など、高付加価値製品への展開を図る。
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