光ファイバー通信の概要と分光測定器の基礎:光スペクトラムアナライザーの基礎知識(1)(4/9 ページ)
今回の連載では分光測定器の1つであり、光ファイバー通信分野の開発では必須の測定器となっている光スペクトラムアナライザーについて解説していく。まず、「光ファイバー通信の概要」「分光測定器の基礎」「レーザ光を使う際の注意点」について説明する。
光ファイバー通信システムの発展を支えた技術
光ファイバー通信システムを構成する要素はレーザーダイオード、光ファイバー、光ファイバー増幅器、フォトダイオードである。これらは1980年以降急速に進化して現在に至っている。特に、半導体レーザーと光ファイバーの進化が著しい。基幹系光ファイバー通信システムでは、大容量化を実現するために、変調技術を使ったデジタルコヒーレント光ファイバー通信が使われるようになってきている。
WDMの登場が光スペクトラムアナライザーの需要を押し上げた
1990年代中ごろから普及が始まった1本の光ファイバーに複数の異なる波長の光信号を伝送するWDM(波長分割多重、Wavelength Division Multiplexing)は、光通信の伝送量を大幅に増やした。
複数の波長の光を1本の光ファイバーを使って伝送するため、お互いの光信号が決められた波長で送られているか、異なる波長の各信号のレベルが正常に送られているかなどを確認する目的で光スペクトラムアナライザーが使われたため、需要は大幅に増えた。
光ファイバー通信の通信用光測定器
1980年代から光ファイバー通信が急速に普及したため、光ファイバー通信機器の開発から敷設や保守のための測定器が開発された。現在では下図に示す光測定器が使われている。
敷設や保守で使われる現場測定器は屋外でも使われるため、電池で駆動できるようになっている。
光通信システムの開発には光信号から変換された電気信号の評価が必要になるため、広帯域オシロスコープやビット誤り率試験器(BERT)などの電気測定器が使われる。
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