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光ファイバー通信の概要と分光測定器の基礎光スペクトラムアナライザーの基礎知識(1)(5/9 ページ)

今回の連載では分光測定器の1つであり、光ファイバー通信分野の開発では必須の測定器となっている光スペクトラムアナライザーについて解説していく。まず、「光ファイバー通信の概要」「分光測定器の基礎」「レーザ光を使う際の注意点」について説明する。

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分光測定器の基礎

 光の色やスペクトラムを測るさまざまな測定原理などについて概要を述べる。

2つの異なる光測定

 光を測る目的によって測り方が異なる。人の目で見たときの光の色や明るさを測る心理物理量測定と、光のエネルギー量や波長を測る物理量測定がある。光ファイバー通信では物理量測定を行うことになる。

光の測定量 呼称 意味 波長に対する重みづけ 主な測定項目 主な測定器
心理物理量 測光量 人の目が感じる明るさの量 目の感度分布(標準比視感度) 光束(lm)
照度(lx)
光度(cd)
輝度(cd/m2
光度計
照度計、色彩照度計
輝度計、色彩輝度計
物理量 放射量 光の電磁的エネルギー量 ない 放射束(W)
放射照度(W/m2
放射強度(W/sr)
放射輝度(W/sr・m2
光パワーメーター
光スペクトラムアナライザー
光波長計
表2:光測定での心理物理量と物理量の違い 出所:日本電気計測器工業会HP「お役立ち情報:電子式物理量計測器 光、画像」

 光源の強さを測る場合、心理物理量測定では、人の目の感度に合わせた波長特性を持つ照度計や輝度計が用いられる。物理量測定では、波長特性が平たんな光パワーメーターが使われる。照度計や輝度計は照明機器や照明環境の評価に使われ、光パワーメーターは光ファイバー通信などの評価に使われる。

 心理物理量で光の色を測る測定器には、分光器を組み込んで正確な色の測定を行う分光照度計や分光輝度計と、複数枚の光学フィルターによって色の成分のみを測定する色彩照度計や色彩輝度計の2つの種類がある。光学フィルターを使って測定する方法では、光のスペクトルの観測はできない。


図12:色彩照度計の構造[クリックで拡大] 出所:色彩照度計 520 05/06(横河技報 1997年 Vol.41 No.4)

【ミニ解説】波長による人の目の明るさを感じる度合い

 人の目は波長によって明るさを感じる度合いが異なっている。照度計などは心理物理量で測定するため、人の目の特性を規定する必要がある。国際照明委員会では人の目の感度特性を規定している。下図は明るいところでの人の目の特性を示す。

 人の目の特性に合わせた光学フィルターは、視感度補正フィルターという名称で販売されている。視感度補正フィルターはデジタルカメラなどにも組み込まれている。


図13:明るい場所での人の目の感度特性[クリックで拡大]

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