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光ファイバー通信の概要と分光測定器の基礎光スペクトラムアナライザーの基礎知識(1)(6/9 ページ)

今回の連載では分光測定器の1つであり、光ファイバー通信分野の開発では必須の測定器となっている光スペクトラムアナライザーについて解説していく。まず、「光ファイバー通信の概要」「分光測定器の基礎」「レーザ光を使う際の注意点」について説明する。

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プリズムと回折格子

 光に含まれている波長成分を分離する方法として、プリズムと回折格子が使われている。プリズムは、波長によってガラスの屈折率が異なることを利用している。回折格子は、光の回折と干渉を利用している。


図14:プリズムと回折格子による分光[クリックで拡大]

 回折格子は、等間隔に並べられた溝によって作られている。プラスチックの板に渦巻き状に等間隔の細かな溝が作られているCDやDVDに太陽光や白熱電球からの光を当てると虹色に見えるのは、CDやDVDが回折格子として機能しているためである。このため、学校での光の回折や干渉の実験に、CDやDVDが使われることがある。


図15:CDに白熱電球を照射したときに見える虹

 分光器であるプリズムと回折格子は、それぞれの特長がある。高い精度が要求される光スペクトラムアナライザーなどの分光測定器では、回折格子が分光器として使われる。

プリズム 反射型回折格子
分散原理 波長による材質の屈折率が異なることを利用 等間隔の格子構造を持つ反射面での回折を利用  
光利用効率 一般に効率は高い 光が高次光として分散するため低い  
分散の波長依存性 紫外は大きいが,可視〜近赤外は小さい ほぼ一定で大きい
分散の温度依存性 大きい(温度による屈折率変化がある) 小さい(温度による回折格子の変形のみ)
高次光 なし あり(高次光カットフィルターが必要)  
迷光 少ない 多い(高次光と回折格子の表面の粗さによる散乱)   
偏光 小さい 大きい   
表3:プリズムと反射型回折格子の比較 出所:島津製作所HPにある「UV TALK LETTER vol.3(2009)」 の表をもとに作成

【ミニ解説】回折格子で発生する迷光

 回折格子に光を照射すると、分光測定に必要な1次回折光以外に、入射した光をそのまま反射する反射光や2次光などの高次回折光、マイナスの次数の回折光といった迷光が生じる。光スペクトラムアナライザーでは、1次回折光以外の迷光の影響を少なくするように工夫がされる場合がある。例えば、高次光が受光センサーに入力されるのを減らすために、高次光カットフィルターが使われる。


図16:回折格子で発生する高次光や反射光[クリックで拡大]

光の検出素子

 電子回路によって構成されている光測定器では、光信号を電気信号に変換する必要がある。そのためにさまざまな原理の光検出器が使われる。


図17:測定器に使われるさまざまな光検出器[クリックで拡大]

 主に光通信の分野で使われる光スペクトラムアナライザーには、「波長範囲、感度、取り扱いの容易性、安価」などの理由から光検出素子としてフォトダイオードが選ばれている。非接触の放射温度計では主にサーモパイル、高感度な測定が必要な高エネルギー物理学実験装置や医療用検査機器などでは光電子増倍管が用いられるなど、用途に適した光検出素子が使われている。

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