連載
光ファイバー通信の概要と分光測定器の基礎:光スペクトラムアナライザーの基礎知識(1)(7/9 ページ)
今回の連載では分光測定器の1つであり、光ファイバー通信分野の開発では必須の測定器となっている光スペクトラムアナライザーについて解説していく。まず、「光ファイバー通信の概要」「分光測定器の基礎」「レーザ光を使う際の注意点」について説明する。
光スペクトラムを測るさまざまな方法
光スペクトラムを測るための方法は、下表に示す通りさまざまな方法があり、用途に合わせて方式が選ばれる。
測定方法 | 分散分光方式 | フーリエ分光方式 | 光ヘテロダイン分光方式 | |
---|---|---|---|---|
手段 | モノクロメーター | ポリクロメーター | マイケルソン干渉計 | 光ヘテロダイン検波 |
波長確度 | 〇 分散素子の回転精度に依存 |
〇 光学配置の安定性に依存 |
◎ 基準光源の波長確度に依存 |
△ 波長可変局発光の波長確度に依存 |
波長分解能 | 〇 光路長とパス回数に依存 |
△ 光路長とアレイ型受光素子のピクセル間隔に依存 |
△ 干渉計の移動距離に依存 |
◎ 局発光の線幅に依存 |
近傍ダイナミックレンジ | ◎ 複数回分散させることで向上 |
〇 | × アナログ部のダイナミックレンジに依存 |
◎ |
測定波長範囲 | ◎ | △ アレイ型受光素子のピクセル数に依存 |
〇 | × 波長可変局発光の波長可変幅に依存 |
測定パワー範囲 | ◎ | ◎ | △ | 〇 ショットノイズに依存 |
寿命 | 〇 分散素子の回転機構に依存 |
◎ 可動部なし |
× 基準光源の寿命に依存 |
〇 |
表4:光スペクトルを測定するさまざまな方式 出所:波長・光スペクトルおよびその幅の測定(岩崎隆志、光測定ガイドブック、オプトロニクス社) |
フーリエ変換分光計
マイケルソン干渉計を用いて光源の正確な光波長を測定する際に用いる方法である。波長計として販売されている製品には、マイケルソン干渉計が組み込まれている。
干渉計からの強度信号をフーリエ変換することによって、光源のスペクトルを得られる。幅広い波長を高い波長確度で測定できる特長を持っている。レベル感度やレベル確度は、光スペクトラムアナライザーのほうが高い。
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