連載
単線の圧着が引き起こす不具合【前編】:Wired, Weird(2/2 ページ)
減圧ポンプに使用されるモータードライバーの不具合調査を依頼された。不具合内容は「電源を入れると欠相のアラームが発生する」ということだった。今回はモータードライバーの不具合調査を報告する。
制御基板の機能を確認
図3の端子台のそばにヒューズ3個と丸いチョークコイルが見えた。
不具合を抱えているのは、この基板に間違いない。この基板を引き出して、実装された部品から回路の機能を確認した。図4に取り出した基板を示す。
図4の右側に4極の端子台があり、三相電源とアースが接続されていた。基板の右半分はノイズフィルターとサージ吸収回路だろう。中央に7個のダイオードと電解コンデンサーがあり、ここが三相電源の整流回路だ。左下にコネクターが2個ある。三相電源で重要な信号は反相と欠相信号なので、2つのコネクターの上にあるディスクリート部品で三相電源の反相と欠相を感知して出力していると思われる。左下のヒューズの上にフォトカプラと思われる2個のICが見えた。フォトカプラで絶縁して2つの信号を出しているようだ。
図4の左側はトランスがあり制御電源の生成回路のようだ。電源の制御ICは実装されていないのでRCC電源と思われる。これで基板の機能はほぼ把握できた。さて欠相アラームの原因調査に進もう。続きは次回に報告する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- PFC電源の問題点と電源焼損防止のカギ
スイッチング電源が普及してしばらくがたつ。PFC回路の搭載など進化してきた一方で、弱点を抱えているのも事実で、焼損の可能性を持つスイッチング電源は少なくない。スイッチング電源、PFC電源の弱点をいま一度見つめ、安全性を高める方法を考えてみたい。 - 絶縁シートの熱履歴が物語る、電源の不良原因
DC12V出力のスイッチング電源の修理依頼があった。症状には『DC12V電源が安定しない。電圧が降下する。内部に焼けた痕跡がある』と記載されていた。非常に珍しい部品が焼けたために、不良部品がすぐに特定でき、電源を修理することができた。今回は、電源の絶縁シートの熱履歴で不良箇所を特定できた修理例を紹介する。 - 根本原因に対処! 火花を散らす半導体製造装置の高圧電源を修理【後編】
今回は電源投入の約5秒後にブレーカーから火花が出て電源が落ちる高圧電源の修理の続きだ。 - 危ない! 火花を散らす半導体製造装置の高圧電源を修理【前編】
半導体製造装置の高圧電源の修理を依頼された。不具合内容は『電源投入後にブレーカーから火花が出て電源が落ちる』ということだった。半導体製造装置では、かなり危ない不具合だ。今回はこの危ない高圧電源の修理の様子を紹介する。 - 火花が出なくなったプラズマカッターの修理(前編)
今回は、プラズマカッターの修理を報告する。高電圧で危険な機器だが、高電圧機器の試作品を設計、製造したことがあるので、引き受けた。 - 繰り返すエンストの恐怖 ―― 劣化した車のバッテリーを復活させる方法(1)
劣化した車のバッテリーを改善する方法を調べたところ、「デサルフェーション回路」という改善回路があることを知った。実際に試作し検証を行ったので、その経緯を報告する。