光スペクトラムアナライザーの利用事例と校正:光スペクトラムアナライザーの基礎知識(3)(4/5 ページ)
光ファイバー通信分野の開発では必須の測定器となっている光スペクトラムアナライザーについて解説する連載最終回。今回は光スペクトラムアナライザーの「利用事例」と「校正」について説明する。
FBGセンサーによるひずみ測定
物体に外部から力が加わったときのひずみを測定する場合は、一般にひずみゲージが使われる。FBGセンサーは大きなひずみの測定はできないが、FBGセンサーは絶縁物であるため外来電磁ノイズの影響は受けない特長を持っている。またひずみゲージに比べて耐久性は高い。
FBGセンサーを測定対象物に貼り付けて外部から力を加えると、下図のように広帯域光源からの光のうち特定の波長の光が反射光として戻ってくる。この波長の変化量はひずみ量と比例関係にあるため、光スペクトラムアナライザーを用いてひずみ測定を行うことができる。
FBGセンサーを使ってひずみ測定を行う方法には、光スペクトラムアナライザーを使う方法以外に光波長を掃引する方式や参照用FBGセンサーとの比較を行う方法などがある。
透過型光狭帯域フィルターの測定
WDM通信システムやバイオ研究で使われる蛍光顕微鏡などに組み込まれている透過型光狭帯域フィルターを評価する際に、光スペクトラムアナライザーが用いられる。
透過型光狭帯域フィルターは干渉フィルターで構成されており、評価方法はJISC5871に示されている。
【ミニ解説】バイオの分野で使われる蛍光顕微鏡
試料の拡大だけを行う一般の顕微鏡では見えにくい細胞の様子は、蛍光顕微鏡によって高解像度に観察が可能となる。これは細胞の構造体に蛍光物質を染色し、外部から励起波長の光を照射することによって蛍光が放出されるという手法である。照射する特定の波長の励起光を得るための励起フィルターと、蛍光によって発生する波長を分離するための吸収フィルターに透過型光狭帯域フィルターが使われる。
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