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LE Audio対応補聴器の要件を満たした新機能LE Audio概説―補聴器の活用例【後編】(2/3 ページ)

 前編で説明した通り、トポロジーと接続の要件定義ができたところで、それらに対応するために多数の新機能をコア仕様に追加する必要があることは明らかです。今回は、それらに対応するための要件をコア仕様の中でどのように満たしたのか、さらに追加された新機能がどのように消費者向けのアプリケーションに応用されるに至ったのか解説します。

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PAST(Periodic Advertising Synchronisation Transfer)

 外部デバイスがブロードキャストストリーム検出を支援できるようにするという要件を受け、その外部デバイスが受信側にストリームへの接続方法を知らせることができるという要件が追加されました。つまり、受信側がリモコンに対して案内を依頼し、どこに行けばよいのかを教えてもらえます。これはPAST(Periodic Advertising Synchronisation Transfer)という、ブロードキャストの取得を簡単にするために重要な役割を果たすコア機能によって実現します。スキャンは電力を大量に消費するため、PASTは補聴器にとても有益な機能です。スキャンを最小限に抑えることは、補聴器の電池寿命の延命に役立ちます。

パフォーマンスと節電に関連する機能の追加

 補聴器の要件を受けて、主にパフォーマンスと節電に関連する機能が他にもいくつかコア要件に追加されました。その1つ目が、新しいコーデックをホストとコントローラーのどちらにでも実装可能にすることでした。コントローラーへの実装は、電力効率のよいことの多いハードウェアへの実装を容易にします。2つ目は、送信または受信に要する最大時間に制約を設けることでした。これはアイソクロナスチャネル内のパケット構造の設計に影響を与えました。多くの補聴器が、電力密度の高い、使い捨ての亜鉛空気電池を使用していますが、このような電池の化学反応は電流スパイクや高出力の電流が制限されることが前提で、制限が守られない場合、電池寿命の大幅な低下につながります。こうした要件を満たすことによって、アイソクロナスチャネルの全体的な設計が形作られていきました。

「ISOAL」と「EATT」

 コア要件に最後に追加された2つの要件が、開発段階の終盤に導入されたISOAL(Isochronous Adaptation Layer)とEATT(Enhanced Attribute Protocol)です。

 ISOALでは、デバイスが上位層のSDU(Service Data Unit)を、リンク層の異なるサイズのPDU(Protocol Data Unit)に変換することおよび、その逆を許します。これが必要なのは、LC3という新しいコーデックについて推奨される10ミリ秒(ms)のフレームに最適なタイミング設定を使用している可能性のあるデバイスと、7.5msという間隔の従来のBluetoothデバイスの両方に対応するためです。

 EATTはBluetooth LEの標準的なATT(Attribute Protocol)の拡張版で、ATTプロトコルのインスタンスが同時に複数実行できるようにします。

 EA機能はコア5.1のリリース時、アイソクロナスチャネル、EATT、ISOALはその後のコア5.2のリリースで採用されたもので、その上にBluetooth LE Audioの他の仕様を築くための道を開くことになりました。

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