ビジョンAIアクセラレーター搭載MPU:ルネサス RZ/V2MA
ルネサス エレクトロニクスは、同社独自のビジョンAIアクセラレーター「DRP-AI」を搭載したMPU「RZ/V2MA」を発売した。1TOPS/Wクラスの消費電力でAI処理ができるほか、各種画像処理用にOpenCVアクセラレーターも内蔵する。
ルネサス エレクトロニクスは2022年9月、ビジョンAI(人工知能)アクセラレーターを搭載したMPU「RZ/V2MA」の発売と量産開始を発表した。AI内蔵ゲートウェイやセキュアゲート、ビデオサーバ、ロボットアームなどマシンビジョン製品の画像認識に適する。
RZ/V2MAは、同社独自のAIアクセラレーター「DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)-AI」を搭載しており、1TOPS/Wクラスの消費電力でAI処理ができる。
また、最大動作周波数1GHzの64ビットArm Cortex-A53を2コア備えたほか、OpenCVアクセラレーターも内蔵した。各種ルールベースの画像処理を同時に実行できる。
インタフェースはEthernet、USB、PCI Expressを備え、遠隔にある複数のカメラから画像を入力できる。H.265およびH.264のビデオコーデックも採用した。
TVMベースの新たな開発ツールも提供
開発環境は、既存の「DRP-AI トランスレータ」に加えて、TVM技術をベースとしたAIモデルの変換ツール「DRP-AI TVM」の提供を新たに開始した。
DRP-AI TVMは、CPUとDRP-AIとの連携動作を可能にする、オープンソースの深層学習コンパイラ「Apache TVM」技術を活用しており、より多くのAIモデルをDRP-AIで処理可能になる。同社は、まずONNX形式およびPyTorch形式のAIモデルをサポートし、今後、Tensorflow形式のAIモデルにも対応する予定だ。
パッケージは15mm角のBGAを採用。メモリインタフェースは、LPDDR4(3200Mビット/秒)、USB3.1(最大5ビット/秒)、PCI Express(2レーン)を備える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- RISC-Vコア搭載モーター制御用32ビットASSP
ルネサス エレクトロニクスは、32ビットRISC-Vコアを搭載した、モーター制御用ASSP「R9A02G020」を発売した。家電製品やビルディングオートメーション、医療機器、ドローンなどでの利用を見込む。 - 産業用イーサネット通信向けMPU
ルネサス エレクトロニクスは、産業用イーサネット通信向けMPU「RZ/N2L」の量産を開始した。リアルタイム性を備えたイーサネット規格「TSN」に対応した3ポートのギガビットイーサネットスイッチを搭載している。 - サーボモーターを高速高精度に制御するMPU
ルネサス エレクトロニクスは、サーボモーター制御用MPU「RZ/T2M」の量産を開始した。モーターのリアルタイム制御と産業ネットワーク通信を1チップ化し、ACサーボや産業用ロボットの高速化、高精度化に貢献する。 - PCIe Gen6対応のクロックバッファーとマルチプレクサ
ルネサス エレクトロニクスは、PCI Express 6.0に対応したクロックバッファー「RC190xx」11製品とマルチプレクサ「RC192xx」4製品を発売した。付加ジッタが4フェムト秒と低く、余裕のあるタイミング設計が可能だ。 - ソフトエラー対策機能を備えた64ビットMPU
ルネサス エレクトロニクスは、高性能64ビットマイクロプロセッサ「RZ/G2」グループ4製品を発表した。ソフトエラー対策として、メモリの誤り検出、訂正機能を全製品に搭載。64ビットCPUコアの採用で、CPU処理性能が最大2.7倍に向上している。 - 車載アクチュエーター/センサー向け16ビットマイコン
ルネサス エレクトロニクスは、車載アクチュエーター、センサー制御用途向けの16ビットマイクロコントローラー「RL78/F24」「RL78/F23」を発表した。2023年7月ごろの量産開始を予定している。