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直流/交流の電流測定、周波数測定と仕様の見方初めて使うデジタルマルチメーター(3)(7/9 ページ)

デジタルマルチメーターの基礎的な使い方について解説する本連載。今回は直流/交流の電流測定および周波数測定と仕様の見方について説明する。

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34461Aで採用されているレシプロカルカウント方式

 34461Aの時間測定は、レシプロカルカウント方式が採用されていると仕様に書かれている。時間計測方式には下図に示すように2つの方法があり、古くは構造が単純なためダイレクトカウント方式が採用されていた。しかし、この方式はゲート時間が同じでも、入力される周波数によって表示桁数が変わるという欠点がある。

 一方、レシプロカルカウント方式は構造が複雑になるが、ゲート時間が同じであれば表示される周波数の桁数は同じになる特長があるため、最近の周波数測定器ではレシプロカルカウント方式が採用されている。


図17:ダイレクトカウント方式とレシプロカルカウント方式[クリックで拡大]

34461Aで設定可能なゲート時間

 周波数や周期を測定する際には、ゲート時間の設定が必要になる。測定器に表示される周波数や周期は設定したゲート時間での平均値となる。ゲート時間を長く設定すると測定結果の表示桁数は多くなるが、測定に必要な時間は長くなる。

 34461Aでは10ms、100ms、1sのいずれかが設定できるようになっている。

34461Aの周波数測定の仕様表現

 34461Aの周波数測定の仕様表現は下表のようになっている。周波数や周期を測定する場合は、入力された正弦波信号をコンパレーターによってパルス信号に変換するため、入力される信号のスルーレート(傾き)による誤差が生じる。このため、周波数が低い場合のほうが誤差は生じやすくなる。

 34461Aの仕様では、波形の傾きが周波数によって変化する正弦波と、波形の傾きが周波数に依存しないパルス波で仕様が異なる。

表4: 34461Aでの直流電流測定の仕様表現
24時間
TCAL±1℃
90日間
TCAL±5℃
1年間
TCAL±5℃
2年間
TCAL±5℃
温度係数/℃
正弦波 3〜10Hz 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
10〜100Hz 0.03 0.03 0.03 0.03 0.035
100〜1kHz 0.003 0.008 0.01 0.01 0.015
1k〜300kHz 0.002 0.006 0.01 0.01 0.015
方形波 0.001 0.006 0.01 0.01 0.015
注1)確度仕様の表現は±(読み値の%)となっている。
注2)仕様は、K=2のISO/IEC 17025(JIS Q17025)に準拠している。
注3)温度係数はTCAL±5℃から外れる場合、1℃外れるごとにこの値が追加される。
注4)60分のウォームアップの仕様である。仕様は、ゲート時間1秒(7桁)の場合である。
注5)100mV以上の正弦波および方形波に適用される。10m〜100mV未満の入力の場合、読み値%誤差の値は10倍となる。

ゲート時間が1秒以下の時の追加のゲート時間誤差
1s 0.1s 0.01s
正弦波 3〜40Hz 0 0.2 0.2
40〜100Hz 0 0.06 0.2
100〜1kHz 0 0.02 0.2
1k〜300kHz 0 0.004 0.03
方形波 0 0 0
注1)確度仕様の表現は±(読み値の%)となっている。

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