ニュース
軽量で薄膜、フレキシブルなミリ波吸収体:凸版印刷 マルチバンド対応ミリ波吸収体
凸版印刷は、軽量かつ薄膜のマルチバンド対応ミリ波吸収体を開発した。波長1〜10mmのミリ波において、吸収する電波の周波数や帯域幅を自由に制御できるほか、1枚のシートで複数の電波を選択的に吸収して反射を防ぐ。
凸版印刷は2022年12月、軽量かつ薄膜のマルチバンド対応ミリ波吸収体を開発したと発表した。1枚のシートで複数の電波を選択的に吸収して反射を防ぎ、通信環境の改善に寄与する。
波長より小さい構造体の周期を二次元配置した、メタサーフェス構造を採用。波長1〜10mmのミリ波において、吸収する電波の周波数や帯域幅を自由に制御できる。また、波長1〜10mm、周波数30G〜300GHzのミリ波で、反射電波の90%以上を吸収する。メタサーフェス構造を微細化することで、6G(第6世代移動通信)での採用が見込まれるテラヘルツ波向けの電波吸収体にも応用できる。
意匠性も付与可能
同社によると、従来品と比較して約96%軽量化しており、薄膜でフレキシブル性も有するため、さまざまな用途に展開できる。他に、吸収体の表面に木目や大理石といった意匠性を施すことも可能で、ミリ波を吸収する室内用壁紙として使用できる。
同社は、電波環境に関わる実証実験を通じて効果を検証し、引き続きミリ波吸収体の開発を進める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 遠距離通信が可能な資材管理向けアクティブタグ
凸版印刷は、遠距離通信が可能な資材管理向けアクティブタグ「ZETag」と、100万個以上のZETagの位置情報を管理できるクラウド型システムプラットフォーム「ZETagDRIVE」を発表した。物流における資材管理業務の効率化を支援する。 - 従来品比40%薄膜化した誘電体フィルム
SABICは、同社従来品と比較して40%薄膜化した誘電体フィルム「ELCRES HTV150A」を発表した。膜厚が3μmと薄いため、コンデンサーのエネルギー密度が向上し、小型化や軽量化が図れることから、より柔軟な設計が可能になる。 - 5G帯域の電波を選択的に吸収するシート
大日本印刷は、5Gに用いるミリ波帯やSub6帯において、周波数の電波のみを選択的に吸収して干渉や漏えいを防ぐシートを開発した。薄型かつ軽量で、さまざまな場所に施工、設置できる。 - 曲面設置可能な5G-Sub6帯対応アンテナ
大日本印刷は、5GのSub6周波数帯に対応した、フィルム型アンテナを開発した。直径15cmの円柱にも巻き付けられるしなやかさと屋外設置可能な耐候性を有しつつ、5G-Sub6帯で100MHz以上の帯域幅に対応する。 - 5Gスマホ向け、0.25mmの薄型ベーパーチャンバー
大日本印刷は、5G対応スマートフォン向けに、0.25mm厚の放熱部品「べーパーチャンバー」を開発した。従来品と同等以上の放熱性能を保持しつつ、厚みが従来品と比較して約3割薄くなっている。