CAN FD/LINトランシーバー搭載の車載用PMIC:STマイクロ SPSB081
STマイクロエレクトロニクスは、車載用パワーマネジメントIC(PMIC)「SPSB081」シリーズを発表した。LDOレギュレーター、セカンダリーLDOレギュレーター、4つのハイサイドドライバー、CAN FDトランシーバーなどを備えた。
STマイクロエレクトロニクスは2023年10月、CAN FDおよびLINを搭載した車載用パワーマネジメントIC(PMIC)「SPSB081」シリーズを発表した。既に量産を開始していて、1000個購入時の単価は約1.8米ドル(約270円)となる。
同シリーズは、固定電圧出力のメインLDO(低ドロップアウト)レギュレーター、プログラマブルなセカンダリーLDOレギュレーター、4つのハイサイドドライバー、CAN FDトランシーバー、オプションのLINトランシーバーを備えた。
セカンダリーLDOレギュレーターは、ICのSPIポートを通じてプログラム可能。独立した3.3Vまたは5Vのレギュレーターや、メインLDOのトラッキング用として使用できる。
ハイサイドドライバーは、LEDやセンサーに最大140mAを供給できる。チャンネルごとに、1つの10ビットPMWタイマーと電流モニタリングを備えた。
各種保護機能を搭載
3.3V、5Vの固定電圧LDOレギュレーターとCANトランシーバー1つを内蔵した「SPSB081C3」(3.3V)と「SPSB081C5」(5V)、追加でLINトランシーバーを搭載した「SPSB0813」「SPSB0815」の計4種をラインアップにそろえた。
フェイルセーフ信号用の診断出力ピンを搭載。ISO 26262に準拠した機能安全要件にも対応できる。また、全ての出力が過電流保護およびオープン負荷検出を備えた。
メインLDOレギュレーターは過電圧保護、過熱保護回路を、セカンダリーLDOレギュレーターは過負荷や短絡、過熱、逆バイアスの保護機能を備えている。いずれも起動時の接地との短絡監視や、レギュレーター故障の連続的な監視機能を搭載した。
複数のスタンバイモードも搭載。プログラマブルなローカルもしくはリモートウェイクアップにも対応している。動作温度範囲は−40〜+150℃、最高動作温度は+175℃。車載向け電子部品規格「AEC-Q100」に準拠した。パッケージは5×5×1mmのQFN32Lを採用している。
サンルーフやシート、ドア、リアゲート、照明モジュール用の車両ボディー制御システムに適する。また、冷暖房空調制御システムやテレマティクス制御ユニット、パッシブキーレスエントリーシステム、制御パネルにも適する。
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