消費電力50%減、エッジAI向けSoC:日本TI Sitara AM62シリーズ
日本テキサス・インスツルメンツは、システムの消費電力を最大50%削減可能な、エッジAI向けプロセッサ「Sitara AM62」シリーズを発表した。AIによるさまざまな分析機能を備えた、次世代のHMIデバイスの開発に貢献する。
日本テキサス・インスツルメンツは2022年6月、システムの消費電力を最大50%削減可能な、エッジAI(人工知能)向けプロセッサ「Sitara AM62」シリーズを発表した。カメラベースの画像処理と、物体検出や物体認識などのエッジAI機能を組み合わせることで、さまざまな分析機能を備えたHMI(ヒューマンマシンインタフェース)デバイスを開発できる。
AI機能を搭載した次世代のHMIの構築を可能に
AM62シリーズは「Arm Cortex-A53」ベースのSoC(System on Chip)で、「AM625」「AM623」の2種類を用意。AM625はエッジ側AIとフルHDデュアルディスプレイを組み合わせ、次世代のHMIに適している。AM623は、物体検出機能とジェスチャ認識機能を搭載し、IoT(モノのインターネット)およびゲートウェイに適している。
消費電力は競合品比で最大50%減と、電源構成を簡素化できる。使用する専用電源レールは2本で、電源モードは5種類備える。例えば、ディープスリープモードでは、消費電力を5mW未満に抑え、バッテリーの長時間動作が可能だ。また、コア電圧は0.75V、アクティブ電力は1.5W未満としている。
一時停止時の消費電力は7mWと、熱設計要件も緩和できるため、さまざまな環境に導入可能だ。PMIC「TPS65219」と併用することで、最適な電力性能比を提供する。OSはLinux、Androidなどが利用可能で、インタフェースは有線、無線のいずれにも対応。各種ツールやリソースも提供し、コストや開発期間の削減に貢献する。
AM62シリーズは、13×13mmの425ピンALWパッケージで提供する。1000個購入時の単価は5米ドル未満となる。「AM62評価モジュール」も149米ドルで供給中だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- プレミアムAIoTデバイス向けSoC
MediaTekは、AIoTデバイス向けSoC「Genio 1200」を発表した。オクタコアCPU、5コアGPU、2コアAIプロセッサを搭載し、スマート家電、工業用IoTアプリケーション、AI搭載デバイスなど、プレミアムAIoTに適する。 - エッジAI向けセンサープロセッシングユニット
STマイクロエレクトロニクスは、AI技術を搭載したDSPとMEMSセンサーを1チップに集積した「ISPU」を発表した。小型かつ低消費電力のエッジAIを可能にする。 - エッジAIカメラ向けQualcomm SoC搭載のSoM
ポジティブワンは、QualcommのAIoT Octa-core SoC「QCS8250」を搭載したシステムオンモジュール「68A1 SoM」の販売を開始した。スマートカメラ、インテリジェント小売システム、高性能UHDビデオ会議などに適する。 - スマートホーム接続規格「Matter」対応のSoC
インフィニオン テクノロジーズは、スマートホーム接続規格「Matter」対応のSoC「AIROC CYW30739」を発表した。Bluetooth LEとIEEE 802.15.4プロトコルを組み合わせ、製品間のシームレスで安全な通信を可能にする。 - 広帯域、高入力インピーダンスのバッファーアンプ
日本テキサス・インスツルメンツは、広帯域かつ高入力インピーダンスのバッファーアンプ「BUF802」を発表した。オシロスコープ、アクティブプローブ、高周波データ収集システムなどの試験および測定用途に適する。 - 小型で省電力の24ビット広帯域A-Dコンバーター
日本テキサス・インスツルメンツは、広い帯域幅を有する24ビット小型A-Dコンバーター「ADS127L11」を発表した。小型かつ低消費電力、高いデータスループットを必要とする信号計測機器、ポータブル医療機器に適する。