電磁気学入門(7)降圧コンバーターの設計事例や損失計算: DC-DCコンバーター活用講座(50)(4/4 ページ)
電磁気学入門講座。今回は、降圧コンバーターの設計事例や、損失計算について解説します。
MOSFET損失の算出
スイッチングFETの電力消費は以下の式で算出できます。
電力損失のワーストケースはVinが最大で負荷も最大のとき。
RDS_ONが0.026Ωの一般的なパワーFETの場合
ダイオード損失の算出
ダイオードの電力消費は以下の式で算出できます。
電力損失のワーストケースは同様にVinが最大で負荷も最大のとき。
VFが0.5Vの一般的なダイオードの場合
インダクター1を使った降圧コンバーターの合計損失は、0.198W+0.073W+0.321W=0.59Wになります。これは、ワーストケースの全負荷時の効率が89.4%であることを示しています。公称入力電圧の12Vのときは、効率は若干向上し90%になります。
これは、ハンダごてをもつ前に確認できることです。
昇圧コンバーターの設計
設計仕様を昇圧コンバーターに変更する場合は、前述の式を変更する必要があります。
式1で示したデューティサイクルの計算式は以下に変更になります。
必要なインダクターの計算は以下の式になります。
インダクターの平均電流は、もはや単純に最大出力電流ではありませんが、Iout/1−δに等しくなります。一般的なデューティサイクル50%では、インダクター電流は出力電流の倍になります。実際には、安全な動作周囲温度85℃以内であるためには、定格が最大出力電流の4倍のインダクターを選択することになります。より太い巻き線は、表皮効果により、まれにインダクターの電力消費に影響を与えます。
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※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。
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