Bluetooth新機能「Auracast」を旧世代スマホで使う方法とは?:アシスタントアプリの開発方法を解説(4/4 ページ)
現在、Bluetooth の最新機能「Auracast ブロードキャスト オーディオ」の普及に向けた動きが加速し、対応するデバイスも続々と開発されています。一方、Auracast非対応の旧世代スマートフォンが市場拡大を妨げています。本稿では、その理由と、解決策となるスタンドアロン型Auracastアシスタントアプリ開発について解説します。
Auracast非対応スマホを使用するためのAuracast受信機の要件
前述のように、Auracas機能を新製品に搭載するために新しいスマホの登場を待つ必要はありません。
しかし、スマホアプリが現在、そして将来にわたり利用可能であると保証するには、Auracast受信機が以下のような設計要件を満たす必要があります。
- 複数のBroadcast Receive Stateキャラクタリスティックに対応できる
- Auracast受信機でスキャンを行う場合、消費電力管理を考慮する
- ソフトウェア開発者は、ソフトウェア起動時にAuracast受信機のスキャンが未完了の可能性があることを認識する
- Auracast受信機は、スキャンができるフル機能のAuracastアシスタントが利用できるかを確認する
ガイドラインに従うことで、シンプルなスマホアプリの提供を通じて、全ての人にAuracastの恩恵をもたらすことができます。必要なのは、Auracast受信機がAuracastのスキャンを行い、収集した情報をBroadcast Receive Stateキャラクタリスティックに格納できるようにすることだけです。それにより、全ての人が現在のスマホを新しい機種に変えることなく、Auracastのあらゆるメリットを享受できます。
オーディオ受信機メーカーは、以上のような基準に準拠したアプローチによってスタンドアロン型のAuracastアシスタントアプリと連携できるAuracast受信機を設計することで、旧世代スマホを使ってAuracastブロードキャストに参加したいユーザーの需要を満たすことができます。それにより、Auracastブロードキャスト オーディオのメリットをより早く消費者に届け、市場の成長を加速することが可能になります。
【筆者:Chuck Sabin(チャック・セイビン) Bluetooth SIG マーケット開発担当シニアディレクター】
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