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ステップアップ形DC/DCコンバーターの設計(3)CRスナバー回路とチョークの要求特性たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(10)(1/4 ページ)

今回はCRスナバー回路とチョークの要求特性について説明します。

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 前回はステップアップ形DC/DCコンバーターで使用する主要部品の要求仕様について検討しました。ステップダウン形と同じディレーティングの考え方ですが動作原理が異なるので要求仕様についても微妙に異なってきます。ですから計算結果は他形式の値を流用せずにキチンと計算してください。

 今回はFET(M1)のVDSS定格の項で用語のみの説明に終始したCRスナバー回路と前回積み残したチョークL1の要求特性について説明します。

CRスナバー回路

 図1に今回検討するCRスナバー回路を付加したステップアップコンバーターの回路図を示します。破線で囲まれたC2、R2の組み合わせ部分が今回説明するCRスナバー(snubber)と呼ばれるスパイク状電圧を軽減するための回路ブロックです。なおC2、R2の接続(実装)順は一般的には次の背景からキャパシターを振動電位側に配置します。

  • この回路のドレイン電位はほぼ矩形波ですが、キャパシターC2側をドレインに接続すると抵抗R2との接続点は矩形波が微分された細いパルス状電圧となり、その分だけ高周波振動エネルギーが減少します。また抵抗の一端が安定電位(接地)に接続されるので部品の電位が安定します。加えてキャパシターと抵抗器のサイズを比較すると一般には抵抗器のサイズの方が大きいため両者の効果によってR2の表面からの高周波ノイズの誘導、放射が減少します。
  • 逆に抵抗器をドレイン電位に接続すると前述の接続点はほぼドレイン電位のままになり高周波の振動エネルギーは減少しませんし、サイズの大きい抵抗R2全体が高周波振動するのでノイズの誘導、放射の面でも不利になります。

図1:CRスナバー回路を付加したステップアップDC/DCコンバーター回路
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