エッジサーバの性能を最大化するストレージとは:処理能力と熱管理のバランスが重要(3/4 ページ)
エッジサーバは、さまざまなマーケット、さまざまな用途で利用が進んでいます。しかしながら、最適なパフォーマンスを実現するには、エッジサーバに求められる個々の要件を満たすことができる、適切なストレージ製品と組み合わせて使用する必要があります。本稿では、エッジサーバが使われる代表的な用途を紹介するとともに、各用途に共通するストレージのニーズについて説明します。さらに、エッジサーバと組み合わせて使用するストレージ製品の選択に際して、考慮すべき2つの優先事項を紹介します。
2-5.医療
エッジサーバは、以下をはじめとする多くの医療アプリケーションでも重要な役割を果たしています。
- コンピュータ支援手術と画像誘導手術:エッジサーバは、一刻を争う救命手術に不可欠な低遅延を実現します。
- AI支援診断:エッジサーバを使用することで、さまざまな診断システムの組み合わせから素早く情報を取得し、データベースと比較することができます。
- リアルタイム画像分析:エッジサーバは医療の現場でデータを解析するため、病気の早期発見など迅速な治療に役立ちます。
- 緊急対応:エッジサーバは、救急車など緊急対応が必要な現場からの迅速なデータ伝送を確保することで、救助チームの適切かつ迅速な意思決定を支援します。
- 患者モニタリング:エッジサーバは、応答時間が短く、リアルタイムデータ分析によるシームレスな遠隔患者モニタリングを可能とし、重要な場面でも即座に対応することができます。
こうした医療分野では、機器の故障が患者の死亡や傷害につながる可能性、セキュリティ侵害によって患者の健康に関する機密データが漏えいする可能性が懸念されるほか、高温や無菌環境に耐えられる設計が不可欠です。エッジサーバは、低遅延と高信頼性が求められるミッションクリティカルな医療アプリケーションにさまざまなメリットを提供しています。
2-6.スマートシティー
スマートシティーでは、都市が抱えるさまざまな課題の解決に必要な特定データを収集するため、無数のIoTデバイス(センサー、照明、カメラ、メーターなど)が設置されています。数多くのデバイスで構成された大規模なネットワークと継続的なデータフローを活用するスマートシティーは、エッジサーバを用いたデータ処理とアクチュエータ制御によって次のような機能を実現しています。
- 市街地の屋外監視
- 照明制御
- 交通の最適化
- 交通監視
例えば、スマートカメラが交通を監視する際、車線方向の交通情報表示、道路の閉鎖、信号の動作など、いつどのようなアクションを取るべきかを決定する必要があります。エッジサーバによるローカルデータ処理と低遅延は、これらを迅速かつ確実に決定し、円滑なオペレーション、安全性、効率性を確保することができます。
スマートシティーを支えるエッジサーバには、過酷な屋外環境でも動作が可能で、広い温度範囲において信頼性の高い性能を発揮することに加えて、衝撃や振動への耐性が不可欠な要素となっています。
2-7.セキュリティ
エッジサーバによるローカルデータの前処理は、自律型のビデオ分析や侵入検知など、さまざまなセキュリティや監視業務において重要な役割を担っています。
例えば、一般的なセキュリティシステムはクラウドに直接接続された複数のビデオカメラで構成されています。セキュリティ担当者はクラウドにストリーミングされるビデオコンテンツを分析する必要がありますが、ストリーミングには遅延時間が発生します。データが遠隔地のサーバから送られてくる場合、時間がかかりすぎることで、セキュリティ脅威への迅速な対応が困難になることもあります。
一方、エッジサーバを利用してローカルデータを前処理した場合、エッジサーバはデータをフィルタリング、クリーニング、圧縮することで、分析が必要な情報だけを最小限の遅延でクラウドに送信することができます。低遅延によって意思決定は迅速化され、セキュリティ担当者は必要に応じて素早く行動を起こし、必要なタイミングで脅威に対応することが可能です。
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