出力電圧/電流範囲を調整可能 車載マイコン向けパワーマネジメントIC:STマイクロ SPSB100
STマイクロエレクトロニクスは、車載マイコン向けパワーマネジメントIC「SPSB100」を発表した。起動シーケンスをプログラムし、システム要件に合わせて出力電圧や電流範囲を微調整できる。
STマイクロエレクトロニクスは2024年12月、同社の車載マイコン「Stellar」などの高集積プロセッサ向けパワーマネジメントIC(PMIC)「SPSB100」を発表した。8×8mmのVFQFN56パッケージで提供され、1000個購入時の単価は約2.40米ドル(約377円)だ。
大電流対応、フェイルセーフ機能を完備
SPSB100は、起動シーケンスをプログラムし、システム要件に合わせて出力電圧や電流範囲を微調整できる。過電流検出と電流制限の安全機能を備えた、3つの降圧コンバーターと2つのリニアレギュレーター(LDO)を搭載。システムマイコンに必要な電圧レールを供給し、外部ペリフェラル負荷やセンサーへの給電に対応する。
降圧コンバーターのうち2つは、3.3V、5V、6.5Vの出力電圧から選択でき、最大3Aの出力電流を供給する。残り1つは、3.3V、1.25V、1.2V、1.1V、0.98Vの出力電圧から選択可能で、最大6Aを供給。LDOの1つは出力電圧5V、精度2%で最大120mAを供給し、もう1つは3.3Vまたは5Vで任意の降圧コンバーターをトラッキングできる。
2つのウェイクアップ入力とフェイルセーフ機能を備え、内蔵のブーストコントローラーがコールドクランクパルス、スタートおよびストップ操作、バッテリー残量低下などのトランジェント時に電力を安定化する。
また、出力電圧値と起動シーケンスを格納する不揮発性メモリ(NVM)を採用。SPIポートが動作設定、制御や診断に対応していて、さまざまな電源電圧レールとペリフェラルが必要な電子プラットフォームで使用できる。
ディープスリープモードを搭載し、静止電流を40μA未満に抑制できる。通信障害やマイコンリセットジェネレーター、過熱警告および保護向けの割り込みピンも装備する。ISO 26262機能安全規格に準拠し、自動車用安全度水準ASILの要件を満たす必要があるアプリケーション向けに、ドキュメントを提供する。
事前に設定した構成として、コアに電力を直接供給する「SPSB100B」と、マイコンの内部スイッチング電源に給電する「SPSB100P」を提供する。AEC-Q100に準拠し、ゾーン制御ユニットや車両制御プラットフォーム、ボディー制御モジュール、ゲートウェイモジュールなど、車両全体での使用に適する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 28nmプロセス採用の車載向けマイコン
インフィニオン テクノロジーズは、車載向けマイコン「AURIX TC4Dx」を発表した。28nmプロセスを採用し、自動車の電気電子制御システム設計に必要な高速のデータ転送性能と優れた接続性を備える。 - アナログ入力の車載用D級オーディオアンプ
STマイクロエレクトロニクスは、アナログ入力の車載用D級オーディオアンプ「HFA80A」を発表した。車載向けに最適化した負荷診断機能を備え、異常な負荷状態や負荷変動を検出できる。 - 車載アクチュエーター/センサー向け16ビットマイコン
ルネサス エレクトロニクスは、車載アクチュエーター、センサー制御用途向けの16ビットマイクロコントローラー「RL78/F24」「RL78/F23」を発表した。2023年7月ごろの量産開始を予定している。 - 検出抵抗なしで車載モーター駆動回路を制御 8チャンネルゲートドライバー
STマイクロエレクトロニクスは、車載向け8チャンネルゲートドライバー「L99MH98」を発表した。車載モーター駆動回路を、検出抵抗を使わずに構築できる。 - サージ耐量は従来の3倍 CAN FD向けTVSダイオード
ロームは、自動運転を支える高速車載通信システム「CAN FD」に対応したTVSダイオード「ESDCANxx」シリーズを発表した。信号劣化を防ぎ、高サージ耐量で車載電子機器の保護性能を向上させる。