産業機器向け、高EMC性能の高精度計装アンプIC 日清紡マイクロ:計装アンプの製品化は「国内初」
日清紡マイクロデバイスは、±2.3〜18Vで動作する産業機器向けの高精度計装アンプ「NL9620」を発表した。同相信号ノイズの多い環境でも安定して動作し、高精度に計測できる。
日清紡マイクロデバイスは2025年5月、±2.3〜18Vで動作する産業機器向けの高精度計装アンプ「NL9620」を発表した。1000個購入時の参考単価は416円(税込)。サンプル受注は同月27日から開始し、月産規模は10万個を予定している。
産業機器向けの計測器には、より精密なモニタリングが求められ、専用センサーを使用することが多い。微小な差動入力信号を正確に処理するために、高精度で信頼性に優れた計装アンプが必要とされている。
NL9620は、計装アンプICとして「国内で初めて」(同社)製品化に成功。長年培ってきた高精度オペアンプの回路設計技術に加え、独自のプロセス技術、トリミング技術、パッケージ技術を組み合わせて開発した。
同相信号除去比に優れ、高精度に計測
同相信号ノイズの多い測定環境でも安定して動作し、同相信号除去比(CMRR)は代表値で130dB(最小110dB)。同相入力電圧の大きな変動に対して、計装アンプの出力電圧の変動を最小限に抑えられる。EMC性能に優れていて、手戻りリスクの低減、アプリケーションの安定動作を見込め、産業機器センサーや工場といった過酷な環境でも利用できる。
低入力オフセット電圧は最大125μV、低オフセット電圧ドリフトは最大1μV/℃ で、高精度な計測が可能だ。
電源電圧範囲は±2.3〜18Vと広範に対応し、さまざまな機器に柔軟に組み込める。ゲインは外付けの抵抗1本で1倍から1万倍で設定可能。導入後の技術支援のために国内での開発とサポート体制を整えている。
パッケージは、2.8×2.9×1.2mmの小型VSP-8-AFで提供する。3.9×5.0×1.65mmのEMP-8-ANパッケージも開発予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
半導体用温調器修理の経験が生きる! アナログ回路のノイズ対策
半導体製造関連の温調器を13年ほど修理してきた筆者は、このアナログ機器の温調器修理経験を買われて知人から依頼された農業関連の技術支援も始めた。今回は、高精度な農作物の自動計量器の精度を維持するために重要なノイズ対策について解説する。
2回路入りJFET入力高音質オーディオ用オペアンプ、日清紡マイクロ
日清紡マイクロデバイスは、オーディオ機器向けに、2回路入りJFET入力高音質オーディオ用オペアンプ「NL8902AN」「NL8902GR」を発表した。低入力バイアス電流と高スルーレートを特徴とし、ノイズ特性、歪み特性をバランスよく備える。
高精度センシングを実現するローサイド電流センスアンプ、ST
STマイクロエレクトロニクスは、高集積ローサイド電流センスアンプ「TSC1801」を発表した。ゲイン設定用に整合された抵抗を集積し、ゲイン誤差は全温度範囲で0.15%以内を達成している。
低ドリフトの2回路入りオペアンプ
日清紡マイクロデバイスは、2回路入りオペアンプ「NL6002」の販売を開始した。低消費電流、低電圧動作でありながら、オフセットやドリフトを抑制している。
アナログ入力の車載用D級オーディオアンプ
STマイクロエレクトロニクスは、アナログ入力の車載用D級オーディオアンプ「HFA80A」を発表した。車載向けに最適化した負荷診断機能を備え、異常な負荷状態や負荷変動を検出できる。


