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32年ぶりの新製品も 波乱万丈だったMotorola「MC6800」マイクロプロセッサ懐古録(7)(3/4 ページ)

今回はMotorolaのプロセッサ「MC6800」を紹介しよう。開発から市場投入に至るまで波乱万丈な経緯を持つMC6800は、派生品も多く、一時代を築いた息の長いプロセッサである。

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派生チップが増えるも、やっぱりちょっと高かった

 これに続き、MC6800の派生型がいろいろ生まれている。1977年3月にMC6802がリリースされる。MC6800にクロックジェネレーターと128ByteのRAMを搭載した製品で、これに併せて発表されたMC6846は、2KBのROMと8本のI/Oポートおよび、プログラマブルタイマーを搭載して、2チップ構成のMCUとして機能するようになっていた。このMC6802の内蔵RAMを無効化したのがMC6808である。

 さらに集積度を高めたのがMC6801で、こちらは6802 CPUに2KB ROMと16bitタイマー、31本のI/Oポートを集積した、完全なMCU構成の製品である。MC6801は命令の強化も行われており、倍精度の加減乗算を可能にする16bitのAccumulatorが追加されている。このMC6801のLead CustomerはGMであり、同社は1978年モデルのCadillac Sevilleにオプションで追加可能なTripMaster digital trip meterにこのMC6801を採用した(ちなみにこのオプションの価格は920米ドルだったそうだ)。このTripMasterのコマーシャル動画はこちらで視聴できる。ちなみにこのTripMasterは大変に売れ行きが良かったそうで、1980年の第2四半期以降、GMは「毎日」25000個のMC6801を搭載したTripMasterを出荷。これは1980〜1981年にMotorolaが生き延びるために十分な売り上げであった。

 ただMC6801は機能が多かったゆえにトランジスタ数も3万5000個まで増え、MCUというにはちょっと高価すぎた。MC6801からROMを削減すると共に若干のバス周りの変更を行ったものはMC6803として出荷されたが、もっとドラスティックに価格を下げられる製品が求められた。そこで機能削減版として16bitだけでなく8bitのAccumulatorも1つに削減、レジスタも減らすなどしてコンパクトにまとめたのが「MC6805」である。コンセプト的にはMOS 6502に近いが、もちろん命令セットも内部構造もMOS 6502とは異なる。

 この後MotorolaはこのMC6805ファミリーを全部CMOSで作り直すことになる。まず発売されたのが「MC146805」で、これはMC6805のCMOS版。次いでHigh Speed CMOSで作り直されたのが「MC68HC05」である。そのMC68HC05の強化型(Stack pointerやProgram Counterが16bit化された、など)が「MC68HC08」。このMC68HC08にIndex Registerを1本増やすと共に16bit除算まで追加したのが「MC68HC11」、これにいくつかの命令を加えると共に内部のデータパスを16bit化して高速化したのが「MC68HC12」となっている。

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