3種のDC/DCコンバーターのまとめ(2)ダイオードの選定&Mode IIについて:たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(23)(2/4 ページ)
今回はダイオードの選定について説明するとともに、チョーク電流連続でも平滑キャパシターへのエネルギー供給期間が短くなるMode IIについて説明します。
1-2) 順方向損失(PF)
ダイオードの順方向損失PF(電流損)は平均順方向電流IF(AV)とその通電率(δD)によって変わります。
ここでは非線形解析の定番中の定番である2直線近似法でPFを見積もります。
図1(a)に等価回路、図1(b)にVF−IF特性のイメージを示します。この等価回路の2つのパラメーター(Vf0、Rs)を得るにはカタログのPF−IF曲線から値を読み取って表計算ソフトにプロットし、切片0の2次曲線近似の各係数から(Vf0、RS)を読み取る手法が簡便です。
通電率δDをパラメーターにした複数の損失曲線では2次項の係数として(Rs/δD)が求まるので既知のδDを掛けてRsを求めます。
ここで各記号の定義は次の通りです。
Vf0:順方向降下電圧の値(1次項の係数) Rs:等価直列抵抗(2次項の係数)
IF(AV):平均ダイオード電流(ADC) IM:矩形波状ダイオード電流のピーク値
δD:ダイオードの通電時比率 IM=IF(AV)/δD
[参考]
図1(a)の等価回路においてVf0に発生する損失Pf0とRsに発生する損失PRsはそれぞれ
です。PFは両損失の合計になります。
上記の特性を考慮したダイオードの要求特性を表1のようにまとめました。実設計においては表の算出式から算出した値を実機で検証して判断します。
特に定格電流と温度については、定格電流を下げて増加した損失を大きなヒートシンクで温度上昇を抑えるなどのトレードオフは頻繁に生じます。
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