よみがえる『破裂するセラコン』の記憶……原因特定!問題が多いノートPCの調査(2):Wired, Weird(3/3 ページ)
前回、客先から預かったノートPCの修理を試みたが、結局直すことはできなかった。しかし、このままでは修理屋のプライドが許さない。今回は、ノートPCの修理の続きを報告する。
大きな音を立て破裂したセラコン……10年前の類似例
10年ほど前だが、類似したトラブルに遭遇したことがあった。それは、ある会社で火災事故が発生し、工場内の設備が被災したというものだ。機器はハロンガスで消火されたが設備を再活用するため、機器の洗浄後の点検と修理を依頼された。
洗浄を行った会社へ洗浄方法を確認したところ、RCA洗浄で、機器内部の基板が洗浄されていた。高実装密度の基板をアンモニアや過酸化水素水で洗浄し、最後に純水で洗浄していたのだ。この洗浄方法を聞いて筆者は驚いた。RCA洗浄は、かなり昔からウエハーの洗浄用に使用されている洗浄方法だが、これを基板に適用すると、基板内に残留した液でいろいろな問題が発生する。
機器を受け取って基板の実装状態を確認し、問題が見つからなかったので通電したところ、バックボードのセラミックコンデンサーが大きな音を立てて破裂した。破裂した原因は、セラミックコンデンサーにクラックがあり、クラックの中に水分が入り込んで絶縁不良となったことだった。恐らく基板にセラミックコンデンサーをマウントした際にクラックが入ったものと思われるが、通常はクラックが入っても、セラミックコンデンサーはオープン状態であり、大きな問題は発生しない。しかし、クラックの内部に水分が入り込むことでクラックが広がる。パスコンで使用したら電源を短絡したことが破裂の原因だ、と思われた。
AI検索したところ
セラミックコンデンサーの破裂は、『水分』が直接の主な原因ではなく、内部で水分が原因で発生したクラック(亀裂)が、使用中の応力や電圧ストレスによって拡大し、最終的に破損に至るケースが考えられます。特に低温環境での使用や、過度な熱ストレス(ハンダ付けなど)がかかると、水分による内部の化学反応がクラックを引き起こすことがあります。破裂というよりは、内部の絶縁破壊やショートが原因で、粉じんや煙を噴き出すことが一般的です
とあった。
今回の問題が多いノートPCでは、保護シートが原因で水分がトラップされ、セラミックコンデンサーのクラックに水分が入り込み、マザーボードの電源が短絡したと考えられる。
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