いまだに多い……マルチバイブレーター回路の誤った応用回路:Wired, Weird(3/3 ページ)
10年以上前にもWired Weirdで、マルチバイブレーターの電源電圧の落とし穴について記事を掲載したが、現在でも米国製品の修理品やFacebookでの海外の投稿で、まだまだマルチバイブレーターに9Vや12Vの電圧を使ったものを多く見かける。
長寿命の製品実現のため、正しい理解を
マルチバイブレーターは発振回路の最も基礎的な回路であり、この回路は多くの機器に使用されている。読者にはトランジスタを劣化させないで長寿命の製品を実現してほしい。
しかしなぜ、米国の製品ではマルチバイブレーター回路の誤った使い方が目立つのだろうか?10年前にEDN Japanで記事を掲載したが、それ以前は日本の工業高校の教科書にも誤ったトランジスタを使った12Vマルチバイブレーターの回路が堂々と掲載されていた。米国では、こうした誤りを指摘/告発する場所がないのかもしれない。結局のところ、このような基本的な技術の誤りを見つけて記事化し、寄稿を続けて啓蒙するしかなさそうだ。
GoogleのAIモードで『12V マルチバイブレーター』で検索したところ、『電源電圧の考慮: 12V電源を使用する場合、トランジスタのベース-エミッタ間の逆耐圧が5V程度しかないことが多いため、ダイオードで保護するなどの対策が必要になる場合があります。』 といった、少しあいまいな説明が表示された。しかし、この内容ではブレークダウンすることを理解できる人は少ないと思われる。もう少し踏み込み、『この結果、hFEが徐々に低下する』ことが記載されれば、ブレークダウンの理解者が増えると思った。
誤った回路を使っても見た目には正常に動作しているように見える。しかし長期間動作させることでどのような結末になるのかを、きちんと知らせることで、正しい理解が得られると思う。AIにも、もっと頑張って勉強してもらいたい。
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