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高インピーダンスセンサーの信号処理法(3/3 ページ)

高インピーダンスセンサーからの信号を処理する回路の精度を維持するには、独特の課題がある。まず、特殊な設計技術をいつ使用するのかを見極めなければならない。次に、センサーと回路を、その精度を落とすことなく、バッファし、保護するデバイスを選択する必要がある。

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より高いインピーダンス値の効果

 図4および図5は、静電容量センサーからの信号を増幅するための2つの方法を示している。両者ともセンサーとしては、物理的加速時に電荷を発生する、770pF圧電型ショックセンサー加速度計を使用している。図4は、典型的なチャージアンプを用いた方法である。オペアンプを反転構成とし、センサーを仮想グラウンドに接続する。オペアンプが動作すると、センサーが発生した電荷がすべてフィードバック・コンデンサへと移動する。フィードバック容量は、センサーの静電容量の1/100であるため、フィードバック・コンデンサの電圧は、センサーの開回路電圧の100倍になる。したがって、回路ゲインは100となる。この方法の利点は、回路の信号ゲインが、センサーとアンプ間のケーブルの静電容量に依存しないことである。このためこの回路は、ケーブル長が一定でない遠隔加速度計でよく使用される。この回路の問題としては、小型のコンデンサによるゲイン設定が不正確であることと、低周波カットオフがある。これは、バイアス抵抗が小型のフィードバック・コンデンサに作用するためである。

 図5は、非反転アンプを用いた方法である。この方法には多くの利点がある。まず、小型のコンデンサではなく、抵抗が正確にゲインを設定する。次に、バイアス抵抗が小型のフィードバック・コンデンサではなく、大型の770pFセンサーに作用し、カットオフ周波数を決定するため、低周波応答が改善される。最後に、非反転トポロジーを組み合わせて、並列に配置することにより、電圧ノイズを適切に減少させることができる。この回路の唯一の欠点は、入力における寄生容量がわずかにゲインを減少させる点である。この回路は、配線やケーブルなどの寄生入力容量が比較的小さく、あまり変動しないアプリケーションに適している。

 所望の低周波カットオフを得るためのバイアス抵抗を計算する際には、バイアス抵抗の値は大きい方がよいことを考慮してほしい。それにより、低周波における平均ノイズ電圧を減少することができる。例えば、−3dBで10Hzという低い周波数を扱う場合は、バイアス抵抗は、1/2π×10Hz×770pF=20MΩとなる。10Hzでは、20MΩ抵抗のノイズ寄与は580nV/√Hzとなり、信号と同様に3dB低くなる。抵抗値を1GΩとすると、加速度計の容量は、抵抗の4000nV/√Hzのノイズを、80nV/√Hzにまでうまく減衰させるが、信号はほとんど減衰しない。時には、必要よりも高めのインピーダンスが役立つのである。

 高インピーダンスをサポートし、保護するデバイスや材料は存在する。高インピーダンスを扱うには、他の場合にはあまり重要でない現象に関する知識も必要である。電流ノイズなどの現象の量子化は難しい場合もあるが、正しい回路技術により、意味のある、繰り返し使える測定が可能となる。リーク、セトリング時間、電圧ノイズ、および電流ノイズといったエラー源を適切になくすことが、回路設計者を真の目的に近づけるのである。

図4 この典型的な反転チャージアンプでは、ケーブルの静電容量、つまりケーブル長の変化が信号ゲインに影響しない。加速度計がアンプから遠く、ケーブル長が特定されない場合にこの回路を利用するとよい。欠点は、値の低いフィードバック・コンデンサがゲインを設定することと、バイアス抵抗がそのフィードバック・コンデンサに作用することにより、低周波性能が決定されることである。
図4 この典型的な反転チャージアンプでは、ケーブルの静電容量、つまりケーブル長の変化が信号ゲインに影響しない。加速度計がアンプから遠く、ケーブル長が特定されない場合にこの回路を利用するとよい。欠点は、値の低いフィードバック・コンデンサがゲインを設定することと、バイアス抵抗がそのフィードバック・コンデンサに作用することにより、低周波性能が決定されることである。
図5 この非反転チャージアンプには2つの利点がある。電圧ノイズを減少させるためにオペアンプを並列に接続できることと、バイアス抵抗が高い静電容量に作用するためよりよい低周波応答が得られることである。
図5 この非反転チャージアンプには2つの利点がある。電圧ノイズを減少させるためにオペアンプを並列に接続できることと、バイアス抵抗が高い静電容量に作用するためよりよい低周波応答が得られることである。

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