差動プローブ
差動プローブとは、2本のペア線からなる差動配線に流れる信号の波形を観測する用途に向けたプローブ。デジタル・オシロスコープなどに接続して使用する。差動信号の論理上の動作として、コモンモード雑音をキャンセルする動作があり、差動プローブも同様である。
シングルエンド信号を観測する一般的なプローブは、2本の接触端子が用意されており、1本を信号配線に、もう1本をグラウンドに接続して信号を観測する。一方、差動プローブは2本の接触端子のほか、DUTが接地されていない場合(フローティング)に使用するグラウンド接続端子も備える場合がある。
2本の接触端子は差動配線を構成する2本の配線それぞれに、DUTがフローテシングの場合はグラウンド端子を被測定物(DUT:Device Under Test)のグラウンドに接続する。なお、差動プローブの中には、2本の接触端子のうちの1本のみを信号配線に、グラウンド端子をグラウンドに接続することでシングルエンド信号を観測できるものもある。
本物の波形を見ているわけではない
シングルエンド信号と差動信号
実際に、差動ペア配線に流れているのは、2本の個別の信号である。差動プローブを使うことで、2つのシングルエンド信号の差に相当する差動信号を計算し出力している。従って、表示された波形やピークtoピークの電圧が実際に配線上を流れているわけではない。
差動プローブは、アクティブ(能動)・プローブの一種である。すなわち、差動プローブの先端部(ヘッド部)に差動アンプが収められている。この差動アンプを使って、2本の配線を流れる信号の差を計算し、その結果を増幅して出力する(図)。またパッシブプローブのように、高インピーダンスではない。従って、差動プローブの測定で計算し出力される波形が、特に広帯域では実際にプローブが測定している信号ではないことに注意してほしい。
高速シリアル・インターフェースの観測に不可欠
差動プローブは、LVDSやDisplayPort、HDMI、USB3.0、シリアルATA、PCI Express、InfiniBand、Thunderboltといった高速シリアル・インターフェースを流れる信号波形を観測する際に欠かせないものである。例えば、LVDSドライバIC「DS90LV011」とLVDSレシーバIC「DS90LV012」を使って、プリント基板上に高速の差動インターフェースを作り込んだ場合も、差動プローブを使って信号波形を確認する必要がある。なお、前述のLVDSドライバ/レシーバICは1チャネル品である。2チャネル品である「DS90LV027/DS90LV028」や、4チャネル品である「DS90LV047/DS90LV048」も製品化されている。
テキサス・インスツルメンツのインタフェース製品ラインアップ
提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日
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