サンプリング・レート
サンプリング・レート(sampling rate)とは、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータにおいて、1秒間に実行する標本化(サンプリング)処理の回数のこと。サンプリング周波数、標本化周波数、サンプル・レートとも呼ばれる。単位にはサンプル/秒(sps)、もしくはHzが使われる。
A/Dコンバータには、極めて重要な性能が2つある。1つは分解能。もう1つが、このサンプリング・レートである。分解能は電圧軸(縦軸)方向の変換の細かさ、サンプリング・レートは時間軸(横軸)方向の変換の細かさを表す。従って、それぞれの性能ともに、大きければ大きいほど(高ければ高いほど)優れていることになる。
fs/2以下の入力信号なら標本化できる
サンプリング・レートが高ければ、より高速なアナログ入力信号をデジタル値に変換できる。ただし、変換できるアナログ入力信号の周波数には制限がある。サンプリング・レートをfsとすると、標本化可能な周波数はfs/2となる。この周波数以下であれば、標本化後に、元のアナログ入力信号を復元することが可能だ。この関係を標本化定理(サンプリング定理)、fs/2の周波数をナイキスト周波数と呼ぶ。
どの程度のサンプリング・レートが必要なのか。それは、A/Dコンバータを適用する用途によって異なる。例えば、オーディオ機器であれば数十k〜数Mサンプル/秒(Hz)、画像処理機器であれば数十〜数百Mサンプル/秒(Hz)、通信機器であれば数十〜数Gサンプル/秒(Hz)、高精度計測器であれば数k〜数Mサンプル/秒(Hz)、高速計測器であれば数十M〜数Gサンプル/秒(Hz)のA/Dコンバータが使われる。
現在、高速なA/Dコンバータとしては、サンプリング・レートが数Gサンプル/秒と高いICが製品化されている。例えば、テキサス・インスツルメンツ(TI)の「ADC12D1800RF」がある。分解能は12ビット。サンプリング・レートが1.8Gサンプル/秒と高いA/Dコンバータを2つ集積している。これをインターリーブ(時分割)動作させることで、3.6Gサンプル/秒のA/Dコンバータとして使えるほか、1.8Gサンプル/秒で動作するデュアルのA/Dコンバータとしても利用できる。広帯域通信機器やレーダー機器、テスト/計測機器などに向ける。
提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月31日
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