GaNパワートランジスタ、DC-DCコン応用で効率98%を実現:エフィシエント・パワー・コンバージョン EPC2019他
エフィシエント・パワー・コンバージョン(Efficient Power Conversion:EPC)は、eGaN(エンハンスメント・モード窒化ガリウム)パワートランジスタの新製品として、耐圧30〜200Vの6製品を発売した。これらを搭載したDC-DCコンバータも評価用として提供する。
エフィシエント・パワー・コンバージョン(Efficient Power Conversion:EPC)は2014年7月8日、eGaN(エンハンスメント・モード窒化ガリウム)パワートランジスタとして、耐圧200Vの「EPC2019」など6製品を発売した。DC-DCコンバータやAC-DCコンバータ、モータ駆動、LED照明、産業機器などの用途に向ける。
新製品は、耐圧30〜200Vの範囲で6品種をそろえている。オン抵抗は従来品に比べて半分にしたという。例えば、EPC2019の場合は最大43mΩと小さい。ハードスイッチング用途での性能雑音(FOM)も半分に削減した。このため、高周波電力変換時にスイッチング特性を改善することができる。
型番 | 耐圧 | オン抵抗の最大値*1) | ドレイン電流*2) |
---|---|---|---|
EPC2023 | 30V | 1.3mΩ | 590A |
EPC2024 | 40V | 1.5mΩ | 550A |
EPC2020 | 60V | 2mΩ | 470A |
EPC2021 | 80V | 2.5mΩ | 420A |
EPC2022 | 100V | 3.2mΩ | 360A |
EPC2019 | 200V | 43mΩ | 42A |
*1)ゲート-ソース間電圧が5V時、*2)パルスのピーク・ドレイン電流(最大値、25℃において) |
GaNパワートランジスタとして、耐圧が比較的小さい30Vまで製品を用意したことで、その用途を拡大することができるのも特長の1つだ。さらに、熱特性を向上しているため、より大きな電力での動作を可能とした。
評価用のDC-DCコンバータも用意
新たに発表したeGaNパワートランジスタを搭載したDC-DCコンバータも、評価用として提供する。POLコンバータ「EPC9018」は、同期整流用に耐圧30Vの「EPC2023」を搭載している。スイッチング周波数は1MHzで、12V入力に対して1.2V/40Aを出力することができる。電力変換効率は最低91.5%を達成している。中間バスコンバータ「EPC9019」は、制御用スイッチに耐圧80VのEPC2021を搭載したものだ。スイッチング周波数は300kHzで、48V入力に対して12V/30Aを出力する。電力変換効率は98%を実現しているという。
参考価格は、eGaNパワートランジスタが1000個購入時で単価3.14米ドルから。評価用の基板は104.40米ドルからとなっている。
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