温度ディレーティング
温度ディレーティングとは、動作温度に応じて、あらかじめ定められた定格値以下で動作させること。電源モジュールやDC/DCコンバータIC、LEDドライバICなど、比較的大きな電流を扱う半導体製品では、注意が必要な特性(動作条件)である。
最大出力電流が10AのDC/DCコンバータ・モジュールを想定してみる。通常、半導体メーカーでは負荷率が100%、すなわち最大10Aを出力できる動作温度を規定している。ここでは仮に+70℃としよう。このDC/DCコンバータ・モジュールは、動作温度が+70℃までであれば、10Aを流しても製品寿命が短くなることはない。安心して使えるわけだ。
それでは、+70℃を超える温度で使用する場合はどうすればよいのか。このときに参考にするのが「温度ディレーティング・カーブ」である(図1)。一般に、動作温度が高くなればなるほど、使用できる負荷率が低下する。言い換えれば、出力電流を5A、7Aといった具合に減らした低負荷率の条件であれば、高い動作温度でも使えるわけだ。温度ディレーティング・カーブで規定された範囲内であれば、製品寿命が短くなることもない。
図1 温度ディレーティング・カーブ
DC/DCコンバータ・モジュールの例である。+70℃までは温度ディレーティングなしで動作する。つまり100%の負荷率で使用できる。しかし、70℃を超えると温度ディレーティングが必要になる。+85℃では70%の負荷率でしか使えない。+85℃を超えると、このままでは使用できなくなる。自然空冷や強制空冷などが必要になる。
従って、電源モジュール、DC/DCコンバータIC、LEDドライバICなどを選択する際には、最大出力電流をチェックするだけでは不十分だと言える。電子機器の内部は、思ったよりも高い温度に達することが少なくない。製品によっては、高い動作温度になると温度ディレーティングが必要になり、低い負荷率でしか使えなくなるケースもある。最大出力電流と温度ディレーティング・カーブの両方をチェックしなければならないわけだ。
関連リンク
■電源モジュール
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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日
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