業界最小レベルの消費電流を実現、異常温度検出もマイコンレスで可能:ラピスセミコンダクタ ML5233
ラピスセミコンダクタの「ML5233」は、動作時の消費電流が25μAと極めて小さいリチウムイオン電池監視LSIである。コードレス掃除機や電動工具などの電池保護システム用途に向ける。
ラピスセミコンダクタは2015年6月、動作時の消費電流が25μAと極めて小さいリチウムイオン電池監視LSI「ML5233」のサンプル出荷を開始した。コードレス掃除機や電動工具などの電池保護システム用途に向ける。
ML5233は、動作時の消費電流が25μA(代表値)で、従来製品に比べて約50%低減している。パワーダウン時の消費電力は0.1μA(代表値)を継承した。これにより、システム動作時の省エネと電池パックを長時間保管する場合などの低ロスを可能とした。また、電池パック内の各セル電圧を、±15mVと高い精度で検出することができる。このため、±50mVの精度で検出していた従来製品に比べて、電池の充電効率は最大7%向上するという。
ML5233は、温度検出回路とショート電流検出回路を内蔵している。これにより、過充電/過放電および過電流検出に加えて、充放電時の異常温度検出や電池パックのショート検出なども、外付けマイコンなしで行うことができる。この結果、実装面積は従来に比べて約20%節減することができ、主要な電子部品点数も4個から1個へ削減することが可能となった。
さらに、ML5233は高耐圧プロセスを用いて製造されているため、1個のLSIで最大10セルまで直列接続することができる。このため、最大36Vまでの電動工具などにも対応することが可能である。同LSIを2個用いると20セル直列システム(72V)に対応することができ、電動自転車や乗用カートなどの電池パックに適応することもできる。
ML5233の動作温度範囲は−40〜85℃。パッケージは外形寸法が9×9mmの32端子LQFPで供給する。すでにサンプル品の出荷を始めているが、量産出荷開始は2015年9月を予定している。サンプル価格(税別)は800円。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 最大256KバイトのフラッシュROM搭載の多機能16ビットローパワーマイコン
ラピスセミコンダクタは、汎用16ビットローパワーマイコン「ML620500シリーズ」に、センサーや通信機能拡張用の機能と最大256Kバイトのフラッシュメモリを搭載した「ML620530/540/550ファミリ」を追加した。 - Bluetooth Smart認証取得済み2.4GHz無線モジュール
ラピスセミコンダクタは、スポーツ・フィットネス機器、ヘルスケア機器など向けに、Bluetooth Smart対応の2.4GHz無線モジュール「MK71050-03」を開発した。送受信時消費電流9mA以下の低消費電力モジュールとなる。 - Wi-SUN向けCPU内蔵の1チップ無線通信LSI
ラピスセミコンダクタは2015年3月、Wi-SUN対応機器に必要な機能一式を1チップに搭載した無線通信LSI「ML7416」を発表した。 - ノイズ耐性や高温耐性を向上、家電機器や産業機器向け16ビットマイコン
ラピスセミコンダクタの「ML620150」ファミリは、低消費電力の16ビットマイコンである。炊飯器やホームベーカリなどの家電機器やノイズ耐性が求められる産業機器などの用途に向ける。