光センサーの利用で白色LED の発光強度を制御:Design Ideas ディスプレイとドライバー(2/2 ページ)
白色LEDを駆動する場合、一般的にはインダクターを使用した昇圧型DC-DCコンバーター回路方式を用いる。この方式では、電流検出抵抗にかかる電圧が一定になるように電流制御が行われる。しかし、LEDの発光強度については何らの対処もなされていない。そこで、今回は、光センサーによってLEDの発光強度を計測し、その計測値を制御ループのフィードバック信号として使用することで、LEDの駆動電流を制御し、発光強度を安定化させる回路を紹介する。
光センサーを利用したLED駆動回路
図4は、これを実現する回路例である。この回路では、IC2の光センサー「ISL29000」によりLEDの発光強度を計測する。発光強度が低下したら、IC2の出力電圧が下がって電流コントローラ(IC1)のFB端子への入力電圧が低下する。ここでは、IC1としてPWM制御方式のスイッチングレギュレーター「EL7630」を用いている。
このレギュレーターは、FB端子の入力電圧が低下すると出力電流のデューティサイクルが増大するように動作する。この動作により、FB端子の入力となる、光センサーIC2の出力電圧が標準値に達するまでLEDの駆動電流が増大する。
動作温度が低下するとLEDの発光強度は高まるが、その場合にはIC1のFB端子に入力されるIC2の出力電圧が上昇する。これによりIC1の出力電流のデューティサイクルが低下し、その結果としてLEDの駆動電流が減少する。それに対応して発光強度が低下し、最終的には温度変化に伴う発光強度変化が補償されることになる。
Design Ideas〜回路設計アイデア集
【アナログ機能回路】:フィルター回路や発振回路、センサー回路など
【パワー関連と電源】:ノイズの低減手法、保護回路など
【ディスプレイとドライバー】:LEDの制御、活用法など
【計測とテスト】:簡易テスターの設計例、旧式の計測装置の有効な活用法など
【信号源とパルス処理】:その他のユニークな回路
※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 3つのマイコンポートで12個のLEDを駆動
今回は、マイクロコントローラのI/Oポートを3個使用して12個のLEDを駆動する回路を紹介する。 - 高速で高精度のLED駆動回路
安定な電流をスイッチングすることで光強度の安定したパルス光を得るLED駆動回路を紹介する。 - LEDを光センサーとして使用した自動点灯回路
LEDに光を照射すると、大きな起電力が発生する。この光起電力効果を利用し、LEDを光センサーとして使う自動点灯回路を紹介する。 - マイコンのI/Oポート1個でバーグラフを制御
バーグラフは状況を直感的に理解しやすいメリットがあるが、多くのマイクロコントローラが必要になったり、種類が限定されてしまったりする。今回は、その2つの欠点を回避する回路を紹介する。ポート数を節約したい場合や子基板を追加するといった改修を行う場合に適している。