LED照明に適したPWM方式の定電流源回路:Design Ideas ディスプレイとドライバ(2/2 ページ)
多くのLEDを使用するには、電流制限抵抗を使用せずに、効率良く電力を供給する必要がある。今回は、約20個のLED群に対する低コストの定電流源として使用できる回路を紹介する。
LED20個と白熱電球の光出力を比較
ここで、照明光源としてのLEDの経済性を理解するために、1Wの白色LED(Luxeon)20個と標準的な白熱電球の光出力を比較してみたい。
まず、LED1個の光出力は45ルーメンであり、20個では900ルーメンとなる。また、350mAの順方向電流に対するLED1個の順方向電圧は平均3.42Vであり、消費電力は1.197Wになる。従って、20個のLED群では23.94Wの電力を消費する。電源効率を80%という控えめな値で評価すると、照明系としての消費電力は28.73W、発光効率は900ルーメン/29W(31ルーメン/W)となる。Luxeonの場合、定格動作寿命は10万時間、つまり約11年間である。一方、Philips製の標準的な60Wの白熱電球は、光出力が860ルーメン、寿命が1000時間(1カ月強)、発光効率が14ルーメン/Wとなっている。
以上のことから、LED系の照明は、白熱電球系と比較して消費電力の点で2倍効率的である。加えて、LED系の照明は寿命が長いため電球の交換に当たる保守費用が実質的に発生しないといえる。
Design Ideas〜回路設計アイデア集
【アナログ機能回路】:フィルター回路や発振回路、センサー回路など
【パワー関連と電源】:ノイズの低減手法、保護回路など
【ディスプレイとドライバー】:LEDの制御、活用法など
【計測とテスト】:簡易テスターの設計例、旧式の計測装置の有効な活用法など
【信号源とパルス処理】:その他のユニークな回路
※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 3つのマイコンポートで12個のLEDを駆動
今回は、マイクロコントローラのI/Oポートを3個使用して12個のLEDを駆動する回路を紹介する。 - 高速で高精度のLED駆動回路
安定な電流をスイッチングすることで光強度の安定したパルス光を得るLED駆動回路を紹介する。 - LEDを光センサーとして使用した自動点灯回路
LEDに光を照射すると、大きな起電力が発生する。この光起電力効果を利用し、LEDを光センサーとして使う自動点灯回路を紹介する。 - マイコンのI/Oポート1個でバーグラフを制御
バーグラフは状況を直感的に理解しやすいメリットがあるが、多くのマイクロコントローラが必要になったり、種類が限定されてしまったりする。今回は、その2つの欠点を回避する回路を紹介する。ポート数を節約したい場合や子基板を追加するといった改修を行う場合に適している。