システム検証用LEDを光電池でオン/オフする:Design Ideas ディスプレイとドライバ
開発したシステムの動作を視覚的に検証する場合、LEDを使うことが多い。検証作業の終了時にはこうしたLEDが動作しないようにしておく必要がある。LEDが点灯することで無駄な電力が消費されないようにするためだ。今回は、プリント基板がシステムの筐体に収容されたことを自動的に検出し、システム検証用LEDが動作しないようにスイッチ回路を設定する回路を紹介する。
光電池ICとnチャンネルMOSFETで構成
開発したシステムの動作を視覚的に検証する場合、LEDを使うことが多い。検証作業の終了時にはこうしたLEDが動作しないようにしておく必要がある。LEDが点灯することで無駄な電力が消費されないようにするためだ。
それには、LEDをオフするスイッチ回路を用意すればよい。手動のSPST(Single Pole Single Throw)スイッチの他、エンハンスメント型あるいはデプレッション型のMOSFET、バイポーラ接合トランジスタ、JFETなどが利用できる。
図1は、プリント基板がシステムの筐体に収容されたことを自動的に検出し、システム検証用LEDが動作しないようにスイッチ回路を設定する回路である。プリント基板に搭載した光電池ICで光量の減少を検出し、LEDを動作させないようにする。検証作業終了時に、作業者の不注意によってLEDが点灯したままになるのを防止できる。
回路のメインスイッチ部は、光電池IC「OPT101」(IC1)と小型のnチャンネルMOSFETで構成した。光電池ICに入射する光量が一定量以上の場合には、光電池ICの出力信号によってMOSFETのゲート電極を駆動できる。光電池ICに内蔵したフォトダイオードの動作電源は光電池ICへの入射光で賄われる。このため、利得1(ユニティゲイン)以下における光電池ICの消費電力は数マイクロワット程度と小さい。
図1:光量に応じてLEDをオン/オフする回路 (クリックで拡大)
光電池ICに入射する光量が少なくなると、システム検証用のLEDを自動的に消灯する。作業者の不注意によってLEDが点灯したままになるのを防止できる。
光電池ICの代わりに、複数のフォトダイオード素子を直列接続してMOSFETのゲート電極を駆動することも可能である。しかし光電池ICを使えば、入射光の状態がさまざまに変化しても高い信頼性でスイッチを動作できる。システム検証作業を行う場所の光量や筐体内部の光量が変化した場合でも、増幅器の利得を調節するだけで対応できる。
システム検証用LEDに印加される逆バイアス電圧がLEDの耐圧を超えてしまう可能性がある場合は、LEDのオン/オフに使うMOSFETを複数個用意する。複数系統の電源電圧を利用する回路ではこの予防措置が不可欠である。
例えば図1は、3.3Vと12Vの2系統の電源電圧を使用した。それぞれの電源が1個のLEDを駆動する。このため各LEDにオン/オフ制御用MOSFETを1個ずつ用意した。仮に両方のLEDのオン/オフを単一のMOSFETで制御すると、オフ状態では3.3V電源に接続したLEDにかかる逆バイアス電圧が8.7Vを超える可能性がある。これはほとんどのLEDの絶対最大定格よりも大きい値である。
マイコンをはじめとした論理ICを使ってシステム検証用LEDを制御する際には、LEDとメインスイッチ部の間にもう1つMOSFETを挿入する。挿入したMOSFETを論理ICでオン/オフさせるわけだ。こうすればメインスイッチ部によるオン/オフ制御に加えて、論理ICによる補助的なオン/オフ制御も実現できる。
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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。
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