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可動線輪型メーターで低レベルの電流を測定するDesign Ideas 計測とテスト

大型の可動線輪型メーターはしばし、フルスケール指示にかなり大きな駆動電流を必要とする。駆動電流が被測定電流より大きいと、シャント抵抗を利用できないことがある。今回の記事では、この問題を解決する手法を紹介する。

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メーターを別電源で駆動せよ

 昔からあるアナログ方式の可動線輪型メーターは、分解能や精度がデジタル方式に及ばないものの、アプリケーションによってはそのメリットを発揮できる場合がある。例えば測定値の時間的変化などは、デジタルメーターでは直感的に把握するのが難しいが、アナログであれば表示値の変化や傾向を容易に追跡できる。

 大型の可動線輪型メーターは、フルスケール指示にはかなり大きな駆動電流を必要とすることがあり、駆動電流が被測定電流より大きい場合には、シャント抵抗を利用できないことがある。

 この問題は、メーターを別電源で駆動すると解決できる(図1)。この例では、フルスケール指示に15mAを要する20cmの可動線輪型メーターが、0から100mAの直流電流を指示する。この手法を用いると、任意の電流範囲に適用できるシャント抵抗の仕様を定義して製作を簡素化することもできる。


図1:別電源で駆動する可動線輪型メーター(クリックで拡大)
可動線輪型メーターの消費電流は、被測定電流に比べて無視できない場合が多い

 他の方式の電流センスアンプが動作電力を被測定回路から導くのとは違い、図1では、IC1は別の電源を利用している。動作時には、IC1の出力電流IOUTはVSENSE/100Ωとなる。VSENSEはRSENSE1に生ずる電圧である。

 この回路では、電流センスアンプではなくIC1を用いている点がミソとなる。IC1が内部回路用の別の電源電圧端子を備えているのに対して、他のデバイスは被測定電流から動作電力を取るからである。フルスケール100mAでRSENSE1には100mVが発生し、これをIC1が最大10mAに変換してR1には最大1Vが生じる。

 オペアンプIC2とトランジスタQ1は電圧制御型電流シンクを形成しており、メーター駆動電流を制御する。メーターのフルスケールが15mAならば、抵抗RSENSE2(66Ω)にかかる電圧は1Vになる。この抵抗の値によってメーターをキャリブレーションしたり、フルスケール電流を変えたりすることが可能である。

 さらに、被測定点とメーター設置場所を分離することができる。可動線輪型メーターは高精度の測定が必要なアプリケーションには使用しないので、ここで用いる受動部品の精度は緩くてよい。また、電源には、電気的なノイズ環境に応じてデカップリング容量を挿入するとよい。

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。

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