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抵抗器(1) ―― 抵抗器の分類:中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(15)(3/3 ページ)
今回から数回にわたり、あまり市場で話題にされないながらも、電子回路に必要な種類の抵抗器について解説していきます。まずは、抵抗器の分類を説明します。
主な抵抗器の特長
図3の形状を基にそれぞれの形式の抵抗器の特長を表3に記します。
種類 | 主な特長 | 抵抗体の種類 |
---|---|---|
低電力抵抗器 | ・抵抗体皮膜を塗布や蒸着で作るタイプの抵抗器です。 ・主に0.5W以下の小形抵抗器です。 |
・炭素皮膜 ・Ni系金属皮膜(キンピ) |
角形チップ抵抗器 | ・抵抗器の中で一番多く生産されています。 ・最も小形の抵抗器で、高密度実装に用いられます。 |
・メタルグレーズ皮膜 ・Ni系金属皮膜 |
ネットワーク型 チップ抵抗器 |
・複数の抵抗器を1パッケージ化した高密度実装用抵抗器です。 ・1素子当たりの電力は低電力型です。 ・外形は表面実装形およびリード端子形(IC型)があります。 |
|
電力形抵抗器 | ・0.5W以上の高電力領域の大形抵抗器です。 ・抵抗器の表面温度が高温となるので注意が必要です。 ・外装にはセラミックケース、難燃性塗料などが採用されています。 ・他の抵抗器に比べ耐パルス特性に優れています。 ・大電力用(100Wクラス)としてメタルクラッド形構造品もあります |
皮膜形 ・Ni系金属皮膜(キンピ) ・酸化スズ皮膜(サンキン) |
巻線形 ・ニクロム線 ・マンガニン線 |
||
その他の特殊抵抗器 | ||
精密級抵抗器 | ・最も高精度(許容差、温度係数)です。 ・高精度制御回路、高精度測定回路に適しています。 |
・メタルグレーズ皮膜 ・金属皮膜(キンピ) ・金属線、金属箔など |
ヒューズ抵抗器 | ・規定以上の過負荷が印加された時に溶断する特殊抵抗器です。 ・パルス耐性は極端に低いです。 ・外装には、難燃性塗料が採用されています。 |
また、それぞれの抵抗体によって対応できる抵抗値範囲が表3のように変わります。用途に合わせてこれらの資料の中から対応可能な種類を選ぶことになります。
例えば、充電回路の突入電流を抑制する箇所に使用するのであれば、
- 抵抗値は1〜10Ω程度 →角形チップ、巻線形、ヒューズ形など
- パルス電力が大きいもの →巻線形
が検討対象になり、結果として両者の特性を兼ね備えた巻線形が選ばれることになります。
次回は突入電流防止抵抗器やヒューズ抵抗器と呼ばれる特殊な抵抗器について説明します。
執筆者プロフィール
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
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