連載
放熱板に触れても大丈夫? 危険なモータードライバーの修理(1):Wired, Weird(3/3 ページ)
今回は、モータードライバーの修理の様子をお伝えする。電源の電解コンデンサーを交換すれば良い内容の修理だったのだが、思いもかけないちょっと危険な構造の電源だったために落とし穴にはまってしまったのだった……。
修理には危険が伴うと再認識
それにしても放熱板にDC300Vもの電圧がかかっていることが信じられない。基板の製造後の検査、調整や修理をする時に放熱板のDC300Vに触れたら感電するだろう。電源基板の中には危険な電圧が放熱板にかかっている可能性があり、修理の仕事での感電の危険性をあらためて思い知らされた。
今回の凡ミスを反省して、一次整流電源を放電させるための治具を作った。10Wで220Ωの抵抗にワニ口クリップをつけたものだ。図5に示す。
ああ、専用ICも壊してしまった……
破損させたモータードライバーは得意客の修理依頼品でもあり、なんとしても修理しなければならない。破損させてしまったFET、抵抗、ハイブリッドの電源制御ICと劣化した電解コンデンサーを交換すれば修理できると思われる。しかし、電源制御ICは、おそらくこのドライバー専用ICのようだ。
余計な作業したばかりに、入手できるかどうか分からない専用ICまでも壊してしまった……。ミスを起こしてしまった後悔でいっぱいだが、修理を投げ出すわけにはいかない。なんとか気を取り直して修理作業を再開することにした。続きは次回に報告する。
《次回へ続く》
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 過電圧監視がない電源の末路
今回は、高価な電気メッキ装置用電源機器の修理エピソードを紹介する。故障原因は、しばしば見受けられる“配線切れ”だったが、事もあろうに過電圧監視が施されていなかったが故に、悲惨な末路を迎えてしまった。 - 不良シーケンサの修理――配慮のない設計が招く必然の故障
今回は、最悪ともいえるような不具合を抱えたシーケンサを修理したので、その模様を紹介していこう。電気製品の設計で配慮しなければならない非常に大切な要素を無視した“不良シーケンサ”を反面教師にしてもらいたい。 - 原因は予想外の場所に潜む!――修理は“気付き”が大切
今回は、不具合原因が予想外のところに潜んでいた修理の事例を紹介する。修理したのは、1985年製のボードチェッカー。意外な不具合原因とともに、30年以上、現役を続けるチェッカーの長寿命設計にも驚いた。 - バックライトの修理――CCFLの入手困難も知恵で立ち向かう
今回は、バックライトが点灯しなくなったタッチパネル付き液晶ディスプレイの修理の様子を紹介する。冷陰極蛍光管(CCFL)を取り換えれば、修理できる内容だったのだが、同じCCFLが手に入らず、知恵を使うことにした――。 - 悲鳴を上げて壊れたプリンタを修理【分解編】
長年、愛用してきた多機能プリンタが先日、「キャー」という悲鳴のような音を出して、動かなくなってしまった。代替品が届くまでの間をしのごうと、修理に挑戦してみた。 - 亡き父が残してくれたマルチ電圧出力ACアダプターの修理
今回は、出力電圧や極性を変更できる便利なACアダプターを修理する。今は亡き父親が愛用していた品。父との思い出のためにも、ぜひとも再び動くようにしたい。