スマートスピーカー向けのClass-Dオーディオアンプ:日本TI TAS2770、TAS5825M、TAS3251
日本テキサス・インスツルメンツは、スマートホームや音声対応のアプリケーション向けに、Class-Dオーディオアンプ「TAS2770」「TAS5825M」「TAS3251」を発表した。
オーディオ設計を変更せず音声コマンド機能を追加
日本テキサス・インスツルメンツは2018年6月、スマートホームや音声対応のアプリケーション向けに、Class-Dオーディオアンプ「TAS2770」「TAS5825M」「TAS3251」を発表した。スマートスピーカーやサウンドバー、テレビ、ノートPC、IoT(モノのインターネット)機器などでの利用を見込む。
TAS2770は、広電源電圧動作のIVセンス付きアンプで、小型スピーカーを高いピーク電力で効率的に駆動する。デジタルマイクロフォン入力とIVセンスアンプを組み合わせたオーディオフロントエンド製品で、オーディオ設計を変更せずに、音声コマンド機能を追加できる。
また、バッテリー電源電圧をモニターし、信号がしきい値を超えないようゲインを自動調整する。これにより、クリッピング(飽和)を防止して、再生時間を延長する。同社のスマートアンプアルゴリズムを活用し、リアルタイムにスピーカーを保護できる。
TAS5825Mは、192kHzの入力サンプリング周波数に対応。低音の強調とスピーカーの過熱保護機能も提供する。専用のシリアルオーディオインタフェースを経由し、周囲の音響情報をアプリケーションプロセッサに出力するため、エコーキャンセル機能を簡素化できる。専有のハイブリッドモード変調方式により、無信号時の消費電力や熱放散を削減できる。
TAS3251は、2つの175W出力と高性能デジタルシグナルプロセッサ(DSP)を搭載。サンプリングレートは最大96kHzで、サイクルごとの電流制限やDCスピーカー保護など、自己保護機能を複数備える。
1000個購入時の価格は、TAS2770は1.49米ドル、TAS5825Mは2.64米ドル、TAS3251は5.95米ドルから。TAS2770は量産出荷中で、TAS5825Mはサンプルを提供中。TAS3251の量産出荷は2018年第2四半期を予定している。
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