低中電力モーターを制御するモータードライバ:ST STSPIN830、STSPIN840
STマイクロエレクトロニクスは、低中電力モーター制御を簡略化するモータードライバ「STSPIN830」「STSPIN840」を発表した。柔軟な制御ロジックと低RDS▽▽(ON)▽▽のパワースイッチを搭載する。
モーター駆動をシンプルかつ柔軟に制御
STマイクロエレクトロニクスは2018年8月、7〜45Vの範囲で動作し、低中電力モーター制御を簡略化するシングルチップのモータードライバ「STSPIN830」「STSPIN840」を発表した。4×4mmのQFNパッケージで供給され、現在量産中。単価は1000個購入時に約1.25米ドルで、製品評価と試作開発が可能な拡張ボード「X-NUCLEO-IHM16M1」「X-NUCLEO-IHM15A1」も用意し、単価は16米ドルだ。
STSPIN830は、柔軟な制御ロジックと低RDS(ON)のパワースイッチを搭載する。三相ブラシレスDCモーター用であり、内蔵パワー段の3チャンネルハーフブリッジを制御するためのモード設定端子を備える。U、V、W相のパルス幅変調を直接入力できる他、より柔軟に制御するため各ゲートに対して信号を個別に入力できる。さらに、3シャントまたは1シャントの磁界方向制御用の電流検知の設定を簡略化する。FA機器、生活家電、小型ポンプ、コンピュータ用ファンや汎用冷却ファンなどに適する。
STSPIN840は、2個のブラシ付きDCモーター、または1個の大型モーターを制御可能だ。内蔵のフルブリッジを2個の独立したブリッジ、または低RDS(ON)と高い定格電流を実現する1個のブリッジとして構成できる。出力ブリッジを、個別または並列に接続して使用することを選択できるので、複数のモーターを駆動する場合、部品点数を削減できる。ATMや舞台照明装置、サーマルプリンタ、紡績縫製機器、自動販売機などに適する。
STSPIN830、STSPIN840ともに、オフ時間を調整できるPWM電流制御回路や利便性の高い省電力用スタンバイ端子に加えて、堅牢性と信頼性に優れた駆動を実現するための各種保護回路を搭載する。内蔵されたパワー段は、500mΩの低RDS(ON)の独自のパワーMOSFETを採用し、高効率と低コストを両立する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- RAMPS向けモータードライバ評価ボード
STマイクロエレクトロニクスは、オープンソースの3Dプリンタ制御基板「RAMPS」向けに、モータードライバ評価ボード「EVALSP820-XS」を発表した。同社のモータードライバ「STSPIN820」を搭載する。 - 車載3相ブラシレスモーター用ゲートドライバ
東芝デバイス&ストレージは、車載3相ブラシレスモーター用パワーMOSFETのゲートドライバIPD「TPD7212F」を発表した。ハイサイドドライブ用のチャージポンプ回路を内蔵し、3相フルブリッジ回路を容易に構成できる。 - 低電圧駆動、大電流対応のHブリッジドライバIC
東芝デバイス&ストレージは、1.8Vの低電圧で駆動し、出力電流最大1.6Aに対応するデュアルHブリッジドライバIC「TC78H651FNG」を発表した。乾電池などの低電圧電源で駆動するモバイル機器や住宅関連機器、USB駆動機器などで利用できる。 - 4個のパワーMOSFETを集積したフルブリッジSiP
STマイクロエレクトロニクスは、定格600Vの単相パワーMOSFETフルブリッジを搭載した、13×11mmの小型システムインパッケージ(SiP)「PWD13F60」を発表した。パワーMOSFET用のゲートドライバと保護回路を内蔵している。 - 放熱板に触れても大丈夫? 危険なモータードライバーの修理(1)
今回は、モータードライバーの修理の様子をお伝えする。電源の電解コンデンサーを交換すれば良い内容の修理だったのだが、思いもかけないちょっと危険な構造の電源だったために落とし穴にはまってしまったのだった……。 - 危険なモータードライバーの修理(2) ハイブリッドICの交換&学んだ教訓
前回に引き続き、モータードライバーの修理の様子を紹介する。思わぬ落とし穴にはまって壊してしまったカスタムと思われるハイブリッドICを探すところから始めることにする――。