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電話端子で大容量コンデンサーをトリクル充電Design Ideas パワー関連と電源

遊んでいる電話線(電話端子)があれば、それを48Vの電源供給源として利用したいとの誘惑に駆られる技術者も多いだろう。そこで、本稿では大容量コンデンサーをトリクル充電(細流充電)するための回路を紹介する。

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電話端子を電源供給源として使う

 遊んでいる電話線(電話端子)があれば、それを48Vの電源供給源として利用したいとの誘惑に駆られる技術者も多いだろう。しかし、米国連邦通信委員会(FCC)の電気通信法パート68では、電話端子に接続された機器が通信状態にないときには、少なくとも5MΩ以上の抵抗を有していなければならないと定められている*1)。この規定の下では、機器に取り込める連続電流量は10μA以下となる*2)

*1)"Part 68," Federal Communications Commission.

*2)(編集部注)日本では、電気通信端末機器を電気通信事業者のネットワークに接続する場合、その端末機器が電気通信事業法に基づく技術基準に適合している必要がある。多くの場合、指定認定機関による認定を受けることになる。

 幸い、電話端子に接続する機器の多くは、連続的な電力を必要とせず、電源がオフの状態が長い時間続いた後に短時間オンした状態になり、その後すぐにオフの状態に戻るといった形で動作する。こうした機器の電源を電話端子からとることができれば、電池その他の電源機器が不要となり、電池の保守費用が発生しなくなるといった利点が生まれる。

 図1に示すのは、1.5Fの大容量コンデンサーC1をトリクル充電(細流充電)するための回路である。C1は電話端子からダイオードブリッジD1〜D4と5.6MΩの抵抗R1を介して充電される。C1両端の電圧が抵抗R2とR3により2分の1に分圧され、これがIC1のコンパレーター「MAX917」(米Maxim Integrated Products社製)の3番端子に入力されて内部基準電圧の1.245Vと比較される。


図1:電話端子を利用した電源回路 (クリックで拡大)

 C1両端の電圧が2.49Vを超えなければ、IC1の出力(6番端子)はローレベルに保持される。C1両端の電圧が2.5Vに達すると、3番端子の入力電圧が基準電圧を越えることになる。それによりIC1の出力がハイレベルとなり、Q1とQ2がオンになる。つまり、電圧が2.49Vを超えると、C1がスイッチング電源部に接続されることになる。それにより、C1両端の電圧が減少し始める。C1両端の電圧が減少するとQ1がオフになり、トランジスタQ3によりQ2がオンの状態に保持される。C1の容量が非常に大きく、しかも取り出し可能な電流が10μA以下に制限されることから、C1を完全に充電するには数日間を要する。

 スイッチング電源部は、米Linear Technology社の昇圧型コンバーター「LTC3459」(IC2)と付加回路素子から構成され、5V/10mAを供給できる。このスイッチング電源部は、C1が完全に充電されると、負荷電流10mAを約40秒間供給できる。無負荷の場合には、10時間以上にわたって5Vを保持することが可能だ。供給可能な時間は短くてもよいので、より大きな電流を取り出したいという場合には、IC2をより低入力電圧で動作可能なものに変更するとよい。

 図中のON、OFFの各端子は、外部制御入力として用いることができる。これらをスイッチなどに接続してハイ/ローに制御することにより、本回路のオン/オフ制御が行える。ON端子をローレベルにするとQ2がオンになり、C1から昇圧型コンバーターIC2に電流が供給される。一方、OFF端子をローレベルにするとQ2がオフとなり、昇圧型コンバーターIC2への電流の供給が停止される。


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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。

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