小型衛星向け耐放射線デジタルアイソレーター:ルネサス ISL71610M、ISL71710M
ルネサス エレクトロニクスは、地球低軌道の小型衛星向けに、耐放射線性能を持つデジタルアイソレーター2種を発売した。優れた絶縁保護性能と最大級のデータレートを備える。
ルネサス エレクトロニクスは2019年1月、地球低軌道の小型衛星向けに、放射線性能に優れたデジタルアイソレーター2種を発表した。パッシブ入力用の「ISL71610M」とアクティブ入力用の「ISL71710M」で、現在量産中。8リード5×4mmのSOICパッケージで提供する。
2500VRMSの絶縁保護を提供
両製品は、地球低軌道の小型衛星で使用される絶縁電源とシリアルインタフェースにおいて、高電圧スパイクからの絶縁保護が2500VRMSと最高レベルを誇る。85℃での瞬時絶縁耐圧は2.5kVRMS(1分間)、継続動作電圧は600VRMSだ。
発信側と受信側を電気的に絶縁するシリアル通信サブシステムでは、ISL71610Mが通信速度最大100Mビット/秒、ISL71710Mが150Mビット/秒のデータレートを提供する。RS-422、RS-485、CANバスにも適している。
トータルドーズ(TID)放射線により、感度の落ちる光学部品を用いたオプトカプラの置き換えにも適している。特性化試験を最大30krads(Si)の総イオン線量で実施し、シングルイベント効果に関しては、43MeV・cm2/mgの線エネルギー付与(LET)の下で試験している。
電源電圧は3〜5.5Vで、自己消費電流はISL71610Mが1.3mA、71710Mが1.8mA。伝播遅延はISL71610Mが8ナノ秒、71710Mが10ナノ秒となる。同相過渡電圧耐性(CMTI)は、ISL71610Mが20kv/マイクロ秒、71710Mが50kv/マイクロ秒だ。
−55〜125℃(TA)、−55〜150℃(TJ)と軍用の全温度範囲で動作し、NASAの低アウトガス仕様に合格している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- リレー(1)――リレーとは
今回から、接点部品の一つであるリレーの説明をしていきます。ただし今回取り上げるリレーは接点容量数10mAから数Aの、主として電子回路と組み合わせて用いられるリレーです。 - 壊れていない基板の修理
今回は半導体製造装置に使用されている簡単なセンサーインタフェース基板の修理の報告だ。依頼された基板はI/Oのインタフェース基板で、実装されている部品は全て壊れていなかったのだが、動かないらしい。なぜだろうか……。 - 接点部品(2)―― 接点の規格
スイッチ(SW)に要求される特性のうち、接点に要求される特性について説明します。 - 接点部品(1)―― スイッチの基本と安全規格
今回からは接点を有する部品を取り上げます。まずはスイッチ(SW)から簡単に説明するとともにその使い方について説明します。 - 車載用途向けフォトトランジスタオプトカプラ
ビシェイ・インターテクノロジーは、AEC-Q101に準拠した、車載向けのフォトトランジスタオプトカプラ「VOMA617A」を発表した。電流伝達率(CTR)は50〜600%、順方向電流は5mAで、高電流伝達率と低順方向電流を兼ね備えた。 - フライバックコンバーター設計の検討事項
フライバックコンバーターは、絶縁型パワーコンバーターで最もコストを抑えることのできる選択肢なのだが、設計が複雑そうに見え、敬遠されがちだ。本稿では、DC53V入力から12V、5Aを出力する連続導通モード(CCM)フライバックコンバーター回路を例に挙げながら設計上の重要な検討事項について考察し、フライバックコンバーターを用いるための一助としたい。